京の七夕企画 梶の葉流しへ誘われて

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2017年7月8日(土)~10日(月)、町家ギャラリーbe京都の和室にてとても風情あるイベントが開催されました。
江戸時代の風俗図や書物で伝わる京都の七夕を復元した「梶の葉流し」という七夕の企画です。

今回レポートさせていただく私はbe京都の館長をしておりますが、嵯峨御流の石川利佳甫先生に「長年華道を勉強している中で、七夕に梶の葉が深くかかわっているのを知り上京区には多くの梶が自生しているのに、七夕のイベント等で使われていないのが残念で、風情ある雰囲気の中で再現してみたい。」というご相談を昨年からいただいており、縁あって実現する運びとなりました。


梶の葉

梶の葉流しの流れ-be京都編

まず里芋の葉の露で墨をするところから始めます。


大きな美しい里芋の葉。

小さなスプーンで露をすくって、墨をすります。

これは、里芋の葉は天の川の雫の受け皿と言われており、溜まった夜露を集めて墨をすり、その墨で和歌や文字を書いて習字や機織りなど手芸の上達を願うことに由来します。
梶は紙の原料になっていたもので、七夕の短冊のルーツとも言われている植物です。

梶の葉に和歌や願いごとを書きます。


梶の葉に和歌を書いている様子。

小さな子どもも筆に挑戦!

心をこめて書きました。

左の葉は梶の葉。右は梶の葉にみたてた短冊用の色紙。

企画に合わせて、お着物でお越しいただく方もありとても風情がありました。
二星(にせい)というのは、織姫様、彦星様のこと。
梶の葉は手に取ると葉の両面に細かい柔らかな毛がたくさんあり、少し書きにくいですが、それでも体験された多くの方がご自身ですられた墨で梶の葉に書かれていました。

賀茂川にみたてたお庭の水盤に、梶の葉を浮かべます。


お庭に並べられた水盤。

賀茂川は天の川に繋がっていると信じられていました。今回は川に流すことができなかったので、お庭に水盤を並べ川に見立てました。


つくばいも川の一部のようでした。

皆様思い思いの水盤に梶の葉を浮かべていました。

笹飾りの体験


和室で笹飾りを体験しました。

願い事は見えないように紙を重ねて結びます。

笹はbe京都に自生しているものを活用いただきました。
すぐに葉が枯れてしまうので、節抜きをして少しでも長持ちするようにしてくださいました。
本来は梶の葉に書いたものを飾るのですが、すぐに水分が無くなりパリパリになってしまうので、一枚一枚梶の葉の形にカットしてくださった色紙に書きました。

願いごとが他の人に見えないように、紙をかぶせて少しずらして折ってはさみ、五色の糸から一色選んだものを飾りにつけます。
願いが叶うようにと叶え結びの形でした。とても奥ゆかしいですね。


全体のしつらえを鑑賞するお客様の様子

「自分が実際に体験してみたいことを、be京都さんのご協力を得て、ようやく実現することができて幸せでした。 」と嬉しいお言葉を石川先生からいただけ、私も嬉しかったです。

参加者の声


説明を受けながら体験する参加者

参加された方のお声では、「このような七夕の行事があるとは!」と、おっしゃることが多く、わざわざ遠方からお越しになられた方もおられました。 水盤で表現したお庭の川、床の間や違い棚に展示した古典スタイルのいけばなにも興味をもって戴けました。石川先生のお一人お一人に丁寧にご説明されているお姿が印象的です。皆様終始穏やかなご様子で体験されていました。
さらに石川先生は、「体験された方の感想を伺うと、墨をすることだけでも珍しい体験になっていたことに、少し驚きました。 目的の一つ、植物の持っている不思議な力を知っていただけたと思います。 昔の人々が信じていたことを、今回『梶』『里芋』『笹』など植物に直接触れることで、感じていただけたと思っています。 」と。


古典スタイルの生け花に興味を持たれる方が多くいました。

梶の葉流しの様子や生け花の写真を撮られ、七夕のよい記念になったというお声も多く寄せられました。

しつらえのご紹介


違い棚のしつらえ

梶の葉のイメージの香飾り。そして旧暦の七夕は上弦の月の日なので、それをイメージした花器に、星のようなブルースターとクレマチスの挿花。


床の間のしつらえ1

床の間には二艘の船が。天の川へわたるための船です。船には舵が必要です。だから、船の舵のかわりに梶の葉に願いを書いて川へ流すと願いがかなえられる、と信じられていたのですね。


床の間のしつらえ2

天の川を渡るカササギをイメージして水鳥の花留を用い、七夕に縁の深い仙翁と梶をいけています。


文人盛という生け花

七夕には瓜をお供えするそうで、瓜類と天の雫のイメージで葡萄を取り合わせています。
文人盛といういけばなです。

今回、もうひとつ嬉しかったことは、お花がとても長持ちしたことです。
その理由のひとつはこの日のために石川先生が愛情たっぷりに育ててくださった、ということ。
もうひとつは、be京都のお庭の井戸水でいけてくださったということ。自然のお水にはとてもパワーがあるのだそうです。


夜、川にみたてた水盤にライトを浮かべた体験学習。

最後に開催時間外の体験学習として、夜バージョンで、ライトを浮かべてみました。江戸時代は提灯を流して、それが天の川のようだったと書かれているのを、少しイメージできました。 いつか夜に川で実施できたらと、夢がふくらみました。
たくさん寄せられた皆様の願い事は御霊神社様へ、奉納していただきました。

レポーター

岡元麻有

古への方々はなんて風流だったのでしょう。
時代の流れに想いをはせ、このような時間を過ごせる喜びに感謝いたします。
次回は五節句で一番廃れてしまった重陽の節句(菊の節句)の行事を2017年9月9日(土)、be京都で予定しています。 菊酒の試飲や着せ綿の行事、茱萸袋の製作を体験して頂こうと準備している最中です。
これからも一緒に伝統や文化を守り伝えることができれば嬉しいです。

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