上京ふれあいネット カミング

上京暮らしの文化プロジェクト 京の五節句と年中行事「上巳の節句」

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主催:
京の暮らしの文化普及啓発実行委員会
上京ふれあいネット運営業議会
協力:
小川特別養護老人ホーム、有職京人形司大橋弌峰、山田松香木店、国定織物㈱、J LIFE gifts、imageフラワーデザイン京都、299屋、テラヲ貸物店、おきにのうつわ、陶芸家田中大、京都の金継ぎ工房まさこの漆、Art gallery be京都

本事業は、令和3年度 文化庁文化芸術振興補助金(地域文化財総合活用推進事業)の助成を受けて実施する「京都の地域文化財総合活用推進事業」の一部です。

3月3日は、五節句のうちのひとつ「上巳(じょうし)の節句」。
五節句は、同じ奇数が重なる5つの日のこと。古来、陽(奇数)が重なると陰が生ずるとされ、節句の日には邪気祓いの行事が行われてきました。一月のみ七日ですが、一月七日(人日)、三月三日(上巳)、五月五日(端午)、七月七日(七夕)、九月九日(重陽)を言います。

上巳の節句とは・由来

上巳の節句は、三月三日に、川で心身を清めるという風習が、中国から伝わったものです。
日本では詩歌を詠み、川に盃を浮かべる風流な遊び「曲水の宴」に起源をもちます。


▲所蔵:十二月図屛風 月岡雪鼎筆(滋賀県立琵琶湖文化館蔵)
六曲一双のうち三月 曲水宴

平安時代には人の身代わりとして紙や、藁で作った人形を川に流して厄災を祓ったといわれており、
これが日本におけるひなまつりの起源とされています。
室町時代には屋内に人形を飾るようになり、江戸時代には子どもたちの健やかな成長を祈り、
女の子の初節句を祝う形となるなど、広く親しまれてきました。


▲「上方雛飾図」京都府蔵(京都文化博物館管理)

展示内容を紹介します

展示では、数種類の雛人形、行事食の紹介、伏籠(ふせご)、舞妓帯でできたタペストリーなど生花をフロアーに敷き詰め、華やかかつ上品に紹介パネルとともに展示されました。連日、多くの来庁者が足をとめ、写真を撮るなどして楽しまれていました。

雛飾り


▲雛飾り7段・3段(協力:小川特別養護老人ホーム)

▲次郎左衛門雛(協力:有職京人形司 大橋弌峰)

江戸時代に流行した丸顔の衣裳着雛で寛文の頃、京都の雛屋次郎左衛門が創始したという雛人形。
源氏物語絵巻に登場する黒い髪と丸い顔に引目鉤鼻(ひきめかぎばな)の優雅な顔が特徴で、流行とは関わりなく、雛の本流として、公家や大名家に人気のあった雛人形です。
貴族の顔の表情を表現するのに用いられました。


▲有職雛(協力:有職京人形司 大橋弌峰)

正絹織物に日本の伝統文様である「吉祥文様・和柄」を京刺繍で施し、京都堀金箔の純金箔を使用し、砂子加工で仕上げた京呉服の粋を取り入れた上品な衣装仕立てになっております。
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現代のようなひな人形の華やかな段飾りが登場したのは江戸時代の頃と伝わります。
京都では、宮中の装束やしきたりを忠実に再現した有職雛(ゆうそくびな)を飾るのが主流で、最上段のお内裏様とお雛様は天皇と皇后を表すとされます。
御所の紫宸殿で天皇と皇后がお座りになる位置に合わせて、お内裏様は向かって右、お雛様は左側に飾るのが京都の雛飾りの特徴です。
品のあるお顔立ちも京都らしい特徴です。
大切なことは、成長や無病息災への想いをこめ、飾ることです。

会場装花

また、上巳の節句は「桃の節句」とも呼ばれます。会場には桃の他、春らしいお花がフロアーいっぱいに敷き詰められました。今でも、桃の香りと生命力にあやかり、花を酒に浸した桃花酒を飲み邪気を祓います。


▲会場フラワーコーディネート
(協力:imageフラワーデザイン京都)

行事食のテーブルコーディネート

上巳の節句と食は古くから切り離せないもので、行事食をイメージするテーブルコーディネートも展示されました。


▲コーディネート(協力:テーブルコーディネーター おきにのうつわ/漆器:まさこの漆 陶器:田中大 組子:J LIFE gifts)

はまぐりは、2枚の貝が一対になっていることから、夫婦円満を象徴する縁起もの。ひしもちの、赤、緑、白の3色には穢れや厄を払う願いがこめられています。上生菓子のひちぎりは、宮中の儀式に用いた【いただきもち】が起源。餅を引きちぎったような形からひちぎりとよばれます。他にも、ばらずしなど、華やかなお膳でハレの日を祝います。


▲ひちぎり (写真提供:京菓子司塩芳軒)

伏籠(ふせご)・阿古陀香炉(あこだこうろ)・薫物(たきもの)


▲伏籠(ふせご)・阿古陀香炉(あこだこうろ)・薫物(たきもの)(協力 山田松香木店)

他にも見どころがたくさんあります。着物などに香を炷きしめるために使われた伏籠(ふせご)は、中に香炉を置いて香を炷き、上に衣類をかけて使われました。今回はミニチュアを展示いたしました。平安時代は文字通り籠を伏せた形のものでしたが、17世紀頃からは折りたたみできる矢来形のものが使われました。展示品も矢来型になっています。
香炉は、阿古陀香炉(あこだこうろ)と呼ばれます。形があこだ瓜に似ていることから名がついた火屋付きの香炉です。また、写真では少しわかりにくいですが、貝の上には、練香が置かれています。
粉末にした香原料を調合し、蜜や梅肉、炭などで練り合わせて丸薬のような形にし、熟成させたものです。鑑真和上が伝えたとされ、平安時代に貴族の間で流行し、さまざまな調合法が編み出されました。

犬筥


▲「大犬筥」所蔵:奈良県立美術館

犬筥(いぬばこ)は、犬の形をした雌雄一対の張子の箱。中に守り札などを入れられるよう合わせ蓋になっています。お産が軽く、子だくさんの犬にあやかり、公家や武家では出産にあたって犬筥を産室に置き、お守りとする習わしがあったといいます。江戸時代には嫁入り道具のひとつに加えられ、ひなまつりにも飾られました。今では職人さんが少なくなっているそうです。

最後に

今出川通から見える貝や末広の華やかな帯のタペストリーも印象深かったです。
また楽しそうな人形もこっそり窓から顔をみせていました。


▲今出川通から見える帯タペストリー(協力国定織物㈱)

▲オーナメント(協力:ハンドメイド299屋)

今回も『おうちでも上巳の節句を楽しもう!』と題し、オーナメントの手作りキットが無料配布されました。節句の展示ごとに配布され大変好評なオーナメントです。上巳の節句では、末広、桃、和菓子のひちぎり、犬筥がモチーフになっておいました。上京区オリジナルで考えられており、子どもから大人まで学びながら楽しく制作されていました。

皆様の無病息災と子どもたちの健やかな成長を祈り、ひと足早い春を感じていただきたく企画された上巳の節句展。ここ上京区は歴史と文化を重んじ、新しい感性をほどよく取り込んで、人々を魅了し続けているまちです。
伝統を大切に受けついでいき、来年こそは、マスクを外して、より晴れやかな春色にそまることを期待しています。

■令和2年度に制作した京の暮らしと年中行事 上巳の節句 もぜひご覧ください。(カミングムービー)
https://www.youtube.com/watch?v=ipua26DFtVQ&t=1s

レポーター

岡元麻有
京町家のギャラリーを企画・運営しております。上京区の魅力発信のため、コーディネートをさせていただけ、嬉しく思います。地域の方が地域の良さを知り、大切にしていければ良いと思います。継続して続けていきたいです。

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