上京区初!ユニバーサル上演のミュージカル~成年後見制度を学ぶ

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「カミングKIDS」なかよし3人組の上京区役所たんけん記

平成28年度第1回「上京区ふくしをなんでもしっとこ講座」~もっとしっとこやっとこ~が平成28年8月10日(水)、同志社大学寒梅館地下1階ハーディーホールで開催されました。第1部は成年後見をテーマにしたミュージカル劇。第2部は劇監修の(公社)成年後見センター・リーガルサポート京都支部さんによる内容解説という内容になっており、
主催:上京区役所、上京区社会福祉協議会
共催:同志社大学学生支援センター・障がい学生支援室
協力:公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート京都支部
と、多くの方が関わっておられました。
最近、福祉関係のお仕事をはじめたことと、ミュージカルが好きで興味があり初レポートさせていただきます!

ミュージカルで『成年後見制度』を伝える-。

『成年後見制度』とは、判断能力が不十分な方々を、法律面や生活面で保護したり支援したりする制度です。

「制度ができて16年。認知症の高齢者は約462万人と言われる中で、制度の利用者は約19万人とまだまだ、制度の利用が進んでいないようです。」
このような挨拶ではじまった中谷区長の言葉が印象的でした。
今年4月、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が成立したこともあり、より多くの方にこの制度を知っていただき、地域で共に生きることを区民の皆様と楽しく身近に考えるため、初めて「ミュージカル」という手法をとり、開催されました。このミュージカルは、平成22年に(公社)成年後見センター・リーガルサポートの設立10周年記念イベントとして京都支部さんで企画され、ミュージカル劇団ケセラ・セラさんによって初演された作品。今回は、出演者9名のうち特別出演の4名は、なんと歌って踊れる司法書士さんです。

劇団初のユニバーサル上演

さらに驚いた点は、今回の上演は、劇団にとって初のユニバーサル上演だということ。 「上京区ふくしをなんでもしっとこ講座」でも劇を取り入れるのは初の試みだったそう。

聴覚障がい者の方のために、舞台後方スクリーンに事前に入力した脚本の字幕が映し出されました。
舞台挨拶などでも、同志社大学学生支援センター・障がい学生支援室の学生さん達が、その場でパソコン通訳して、舞台右手前方のスクリーンに文字を打ち出していました。手話通訳もありました。

また、視覚障がい者の方のために、役者さんの動きを説明するナレーションが、テレビの副音声のように入っていました。劇団メンバーの話によると、字幕を映しながら、ナレーションとのタイミングも意識しながらお芝居することは、とても難しかったそうです。効果音や舞台後方スクリーンの字幕は出演者以外の裏方さんの支えがあって実現するものです。

タイミングを気にしすぎると、せっかくの生の舞台の勢いや間が不自然になると思うので、本当に難しいことだと思います。けれども、舞台を観ていてまったく問題なく、演劇・ミュージカル好きのレポーターの私も、とても楽しむことができました。

第1部 成年後見劇 『今日もいい天気~ご近所さんの成年後見物語~』 ご紹介

登場人物


劇中のストーリーを少し紹介します。

ミツが詐欺師や振り込め詐欺に騙されそうになった時、ヘルパーのトト子が気付いて阻止したのですが、この出来事をケアマネージャーに報告します。するとケアマネージャーは娘であるのぞみに成年後見人をたてる申立てをするように勧めます。家庭裁判所に申立てをして司法書士の後見が成年後見人に決まる…」という流れです。

身近な設定で成年後見制度を伝える

あまり聞きなれない「成年後見制度」の存在と活用方法を伝えるため、とても身近な設定が劇中にたくさんありました。
例えば、判断能力が落ちてきている一人暮らし高齢者の家にヘルパーさんが来ている、そんな高齢者を狙った詐欺被害…など。タイトルにもあるように「ご近所さんの…」がまさにぴったり。私の家族やご近所の方にも起こりうる可能性が十分ある状況で、認知症などで判断能力が不十分な方が不利益を被らないように成年後見制度は活用できるものだということをミュージカル劇で伝えてくれました。

クライマックスでは…。

最後にまとめるこのシーン、唄いながら説明してくれています!
しかもこの方がなんと司法書士さん。とても素敵な歌声でした。
「♪今後もミツさんがひとり暮らしを継続できるよう、ヘルパーに来てもらう日数を増やし、隣人の瀬和矢紀子さんにも引き続き様子を見守ってもらうことになった。今後、ひとり暮らしが難しくなる時のことを考えて、のぞみさんはケアマネージャーに頼んで施設を探し始めることにした~♪」

エンディングも最高の歌とダンスで締めくくってくれました。

<レポーターがミュージカルから学んだこと>

① 成年後見人をたてたい時は、家庭裁判所、福祉事務所、地域包括支援センター、弁護士、司法書士、社会福祉士などに相談するとよい。
② いずれ必要になると思われる情報は、早めに調べておくと困らない。
③ ご近所でお互いに気にかけあうことが大切

第2部 成年後見制度NOW  司法書士による○×クイズ  問題と解答

成年後見制度については、劇が終了した第2部にて(公社)成年後見センター・リーガルサポート京都支部の方から説明をしていただきました。成年後見制度は、判断能力が不十分な方々を、法律面や生活面で保護したり支援したりする制度です。家庭裁判所に申立て→審理→法定後見の開始の審判・成年後見人などの選任→審判の確定という形で選ばれます。
詳しくは、(公社)成年後見センター・リーガルサポートのHPをご覧ください。
参考URL https://www.legal-support.or.jp/support

〇×クイズでは生きていれば遭遇するかもしれない様々なシーンを司法書士さんのわかりやすい解説とともに、参加者も拍手で〇×の意志を表明しながら進みました。

1. ミツさんが骨折しました。後見さんは入院の契約ができる
2. 後見さんは、ミツさんが受ける手術の同意書にサインすることができる? ×
3. ミツさんが施設に入ることになりました。後見さんは施設と契約ができる?
4. 後見さんはミツさんの身元保証人(支払いの保証人)になれる? ×
5. ミツさんの家の隣の畑を売ることになりました。
後見さんは、ミツさんの畑を売る契約をすることができる?
6. ミツさんの独身のお兄さんが死亡し、ミツさんと妹が相続人になりました。
後見さんはミツさんに代わって、相続の手続できる?
7. 将来、ミツさんが亡くなった時、お葬式は後見さんがするの?
(本人の生活をサポートする業務なので、亡くなったらそこで業務終了となる。)
×

ユニバーサル上演ということで、関係者の多くの協力を必要としたこの開催
8月の暑い中の開催となりましたが、たくさんのご来場がございました。

ミュージカル劇団 ケセラ・セラさんについて

平均年齢60才以上のアマチュア劇団。普段は他のお仕事を持ちながらお稽古されています。
劇団をひとことで表現すると、『めざせ吉本、お笑いミュージカル!!』とのこと。今回も随所に笑いが仕掛けてあり、私も何度も笑ってしまいました。
出張上演承ります!との力強いお言葉もいただきました。
2017年2月の京都府演劇フェスティバル出演に向けて稽古に励んでおられます。

今後の予定

今回見逃してしまった方も(公社)成年後見センター・リーガルサポート京都支部さんにご連絡いただければ上演いただけるチャンスがあるとのこと。
また、今回の「上京区福祉をなんでもしっとこ講座」に続き、11月には実技や体験を通してより深く学ぶことを目的とした平成28年度「上京区福祉をなんでもやっとこ講座」が開催されます。テーマを「聴覚障害」とし、手話を通して当事者と交流し、聴覚障害への理解を深めることができます。
詳細:http://www.city.kyoto.lg.jp/kamigyo/page/0000203779.html

こちらも、ぜひご参加ください。

■参考URL

(公社)成年後見センター・リーガルサポート京都支部
http://www.ls-kyoto.jp/

(公社)成年後見センター・リーガルサポート
https://www.legal-support.or.jp/index

ミュージカル劇団 ケセラ・セラ
http://www7.plala.or.jp/kesera-sera/index.html

京都市上京区社会福祉協議会
http://www.mediawars.ne.jp/fukusi04/

同志社大学学生支援センター・障がい学生支援室
http://challenged.doshisha.ac.jp/

レポーター

森田典子

京都市に約40年住んでいます。現在、アルバイトをしています。

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