自転車の乗り方を学ぶ~「きょうと学生自転車安全利用講習会」

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自転車の乗り方を学ぶ~「きょうと学生自転車安全利用講習会」

平成28年9月22日(木・祝)の午前中、時折雨がぱらつく中、92名の大学生が「きょうと学生自転車安全利用講習会」に参加しました。これは京都モビリティウィーク&カーフリーデー2016というイベントの一環で行われたものです。講習会は、90分の中で、京都府安心安全まちづくり推進課による座学、上京警察による実技講習、京都市自転車政策推進室による現地見学の大きく三つのパートに分かれて行われました。

座学では、道路交通場面での大人としての役割、京都府内の自転車事故の状況、大学生ができる自転車指導活動の内容、基本的な自転車のルール、交通事故の責任、自転車賠償保険等について話されました。言葉では交通安全とはよくいいますが、日頃から交通ルールを守るという行為がいかに社会的に重要か、自身の将来に重要かを学んだという点でこれまでの交通安全講習会と違うものだったのではないでしょうか。


実技講習では、実際に自転車に乗車するところから、道路の左側走行、駐車車両を避けて運転、右折、信号横断、一旦停止と左折、ジグザグ走行、細い二本の白線内をゆっくり15秒かけて運転するなど、安全面の確認、交通ルールの確認、自転車を運転する技能そのものを確認する内容でした。自転車を乗る前に安全確認をするということを、普段から私も含めほとんどの方はされていないのか、みな指導員の方から厳しく指導を受けていました。また、設置されたポールをジグザグに走行し、二本の白線内からはみ出ないようにゆっくり自転車を運転させるというのは、想像以上に難しく自身の運転技能のまずさを自覚させられました。

現地見学では、河原町丸太町付近に設置された自転車と矢印のピクトグラムである通称「矢羽根」についてと実際に走行する場合の説明がありました。説明中、右側通行や、ながら運転など自転車運転の交通違反やマナー違反を図らずも目撃することとなり、悪い事例として認識することもできました。

※矢羽根についてはコチラからご覧ください
「自転車走行空間実証実験について」(京都市建設局自転車政策推進室 広報資料)
http://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/cmsfiles/contents/0000192/192706/kouhou.pdf

今回の講習会を受けた大学生に感想をお聞きしました。
・自転車運転は思った以上に難しい
・知らないことが多かった
・安全確認として右後方を振り向くことを普段していなかった
・普段はバイク通学なので、講習を受けて自転車の視点がわかった
・交通ルールや今回のことを受けただけで終わらせず、発信したい
・勉強になった
・マウンテンバイクに乗ったことがなかったから、借りられて※よい機会だった
・自転車は日常的で、自動車と違って試験がこれまでなかったから、知る機会がなかった。小中学校とかでもっと発信しなければいけないと思った

※今回の京都モビリティウィーク&カーフリーデー2016の一環で、御苑内ではレンタルバイクを実施し、うち数台を講習用にお借りしたため、車種によってはスポーツタイプやマウンテンバイクを借りることもありました。

また、今回の講習会で指導側のボランティアスタッフであった、久下智大(くげともひろ)さん(仏大社会学部3回生)にもお話をお聞きしました。久下さんは、大学のゼミで京都のまちづくりについて学んでいらっしゃり、前期の授業で交通について学びました。その延長で京都カーフリーデーのことを知り、7月に自転車講習会に参加したことが今回のボランティアのきっかけとなったそうです。普段はバイクを運転されていますが、自転車が歩道からいきなり車道に出てきたりと怖いと感じることが多く、もっと自転車のことについて知ってもらいたいと思っていらっしゃいました。

今回指導員をされての感想は、初めて指導する立場となり、今後誰に見られるのかわからないのだから普段から交通マナーなど、ちゃんとしないといけないと思ったそうです。また、今回の参加者は、みな熱心だったが、大学でこのような活動は一般的に知られていないので、取組をもっと伝えられるようになりたいし、伝えないと止まってしまうと思われていました。
立場は違っても関わった学生さん方が、それぞれ自転車運転のマナー、交通規則の順守の重要性を感じ、それをもっと多くの学生達に伝えたり、小さいころから学ぶ必要性を考えられたことは、今後の交通安全に関して非常に明るい材料だと思いました。

一方、主催者側の方々にもお話をお聞きしました。中野人忍さん(上京区交通安全会連合会会長/「世界一安心安全・おもてなしのまち京都 市民ぐるみ推進運動」上京区推進協議会 交通安全部会部会長)は、お仕事の傍ら少林寺拳法を長年指導されています。その中で、常日頃から人の役立つ人間になれ、将来困った人を助け小さなことでも声かけられるような人間になれと説いていらっしゃるそうです。人生はつど岐路があり、その時点で自身を顧みることができればいいとも。今回の講習会で学んだことを、そういった自身を顧みる材料や、社会に出てから伝えられるようになってもらえたら嬉しいとのことです。また、学生達が一生懸命にやっている姿が非常に良かったともおっしゃっていました。

座学を指導されていた京都府府民生活部安心安全まちづくり推進課の職員さんは、受講する学生の様子をご覧になり、はじめ自転車に興味なく来た学生もいたようだが、楽しんで学んで最後は満足してくれたようだと感じられたそうです。また、たかが自転車だと思われるかもしれないが、今回の講習会を通して、学生自身の将来に関係することであると認識し、自身の将来のためにルールを守る必要性を感じてもらえたようだとお話しくださいました。また今回の参加者が今後の自転車講習会のボランティア活動につながり、社会に役立ち、それがさらに社会のルールにつながれば、という展望も述べられました。

実技を指導された上京警察署交通課の署員さん達は、普段小中学生や高校生に指導をされていらっしゃるためか、大学生の呑み込みの早さに感嘆されていました。単に楽しんで乗るだけでなく、ルールを意識して乗ってみると全く違うと感じてもらえたこと、それを自分のものとして身に着けてほしいと思っていたが、伝わったのではないかとおっしゃっていました。そしてぜひ、乗って、暮らして、地域の安全教室などで、指導する側になってほしいとも。

現地見学へ引率された京都市建設局自転車政策推進室の職員さん達は、現地の近くに住んでいる参加者を除き、ほとんどの参加者が矢羽根について知らないということで知ってもらう機会になったこと、少しでも知り合いに伝えてもらえれば嬉しいということでした。また、参加者から矢羽根や線が引いてあるところは自転車で走りやすい、まだあるところを走ったことがないので走ってみたいなど意見がありました。

主催や共催、協力団体が多岐にわたり、行政枠を超えて官民一体となって実施された今回の講習会は稀有なことといえます※。交通ルールを守るということは個人の意識の問題ではありますが、それを多くの方が関わり、進めるということはそれだけ多くの方がその重要性を認識しているからでしょう。参加した学生の声もあったように幅広い年代層、行政、民間、企業、大学などさらなる賛同者を得て、広がりのある取組になってもらいたいものです。

※この企画は行政機関をまたぎ、民間団体と協力しあっています。企画は京都カーフリーデー実行委員会、主催は京都市上京区役所、共催は環境省京都御苑管理事務所、京都府上京警察署、京都市建設局自転車政策推進室、「世界一安心安全・おもてなしのまち京都 市民ぐるみ推進運動」上京区推進協議会 交通安全部会、そして協力として京都府府民生活部安心安全まちづくり推進課、一般財団法人国民公園協会京都御苑です。これは、会場として京都御苑内富小路休憩室と富小路グランドをお借りしたこと、自転車安全に関して日頃から上京区内の地域の団体、区役所、警察が話合いを重ねていること、京都府に自転車安全利用推進員委嘱制度という自転車の安心安全を伝える人を育てる制度があったことなどがうまくかみ合った結果でした。

レポーター

松井朋子(まついともこ)/京都市まちづくりアドバイザー

2年前に自転車を運転していたらいきなり歩行者が目の前を飛び出し、スピードを出してなかったにもかかわらず両手のブレーキのバランスが悪くて自転車ごと前転し、全治2か月のけがを負った。それ以来自転車の運転が非常に怖くなり、この講習会ではかなり久しぶりにドキドキしながら自転車に乗った。

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