平成29年度上京!MOWを終えて~アイデアを具体化し、一歩進める~

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平成29年度の上京!MOW(かみぎょう もう)(上京区まちづくり円卓会議拡大会議)は9月と11月に2回、開催しました。平成28年度の上京!MOWについてもレポートを書きましたが、平成29年度はそれとはまたちょっと違う趣向でした。ここでは平成29年度の流れを簡単に説明し、上京!MOWで何があったのか、そして,その後の動きについて簡単にご紹介します。

平成28年度の上京!MOWについてはコチラ
「上京!MOW」から見える、上京の未来
http://www.kamigyo.net/public_html/event_report/report/201703312/

1.平成29年度の上京!MOW開催の前に

平成29年度の上京!MOWを開催する前提として、平成29年度の第1回、第2回上京区まちづくり円卓会議(5月、7月実施)で上京!MOWで進めるべきテーマのベースづくりをしています。上京区まちづくり円卓会議(※以下「円卓会議」と表記)とは、第2期上京区基本計画(地域の課題を区民と行政機関との協働で解決し住みよいまちをつくるための計画)を推進するための意見交換を行う場で、上京区内17学区からの代表者、NPO、公募委員等で構成されています。これまでも様々な意見交換が行われて、具体的な動きになったもの、上京区運営方針に反映されたもの等があります。

(1)第1回円卓会議

今年度の上京区役所の重点施策、円卓会議の年間予定(上京!MOW含む進め方)の説明の他、平成27年度国勢調査データ等をもとにした上京区の統計資料(人口、世帯、住まい、多様性を学区ごとに表したグラフ)を見ていただき、委員各自がお持ちの感覚との相違を確認しました。さらに、平成28年度末の円卓会議で確認した「10年先を見据えた住み続けられるまちを考えることが重要である」ことを踏まえて、「気になること」「興味あること」「解決したいこと」を話し合っていただき、ランキング形式で報告し合いました。

(2)第2回円卓会議

第2回円卓会議は,第1回円卓会議の「気になること」「興味あること」「解決したいこと」ランキングで出た内容を6テーマにまとめました。第2回は,この6つのテーマを「まわしよみ新聞」という方法で,事務局が用意した数々の新聞や雑誌などで得た新たな情報(視点)によってアイデアを出し合いました。

「まわしよみ新聞」についてはコチラ
http://www.mawashiyomishinbun.info/

6つのテーマと,テーマごとにつけられた「まわしよみ新聞」のタイトルもご紹介します。

<6つのテーマ>
A. 多世代の参加による自治会の再生                     ➡「多世代新聞」
B. 若者がまち(社会)に参加するための入口         ➡「楽しい・つながる新聞」
C. 情報の発信・共有の方法                                 ➡「アナログ復活新聞」
D. 住み続けられる家・地域                                 ➡「地域と絆しんぶん」
E. 上京型観光(おもてなし、体験、住民との関係) ➡「上京オールインワン革命!!新聞」
F. 地域のお宝(伝統文化、魅力等)の理解と周知    ➡「上京 人・モノ・お宝新聞(タイムズ)」

第2回円卓会議で「まわしよみ新聞」を開催した理由は、これまで何度も話し合いの中で出てくる課題やテーマに対して、遠い場所の事例、思いもよらないキャッチコピー、他の分野のアイデアを新聞記事、チラシ、雑誌等から見つけることで、いつもと違う視点を得てアイデアを膨らませるためです。
京都新聞、全国紙の他、めったに見ることがない秋田魁新聞、南日本新聞、業界紙の染織新報、フリーペーパー、チラシ、雑誌など様々なものに対し、みなさん熱心に目を通し、興味あるものをどんどん切り抜かれていました。テーブルに戻っても、ご自分たちが切り抜いた記事について話が盛り上がりました。

2.プロジェクトを応援!第1回上京!MOW(上京区まちづくり円卓会議拡大会議)

(1)テーマの事前公募
円卓会議での6つのテーマ(A~F)や、まわしよみ新聞から出てきた楽しいアイデア、考え方を実際に活かせるようなプロジェクト(ワークショップテーマ)を開催前に公募し、具体的に進めていく意志のある10テーマを選定しました。

テーマの公募等の開催案内についてはコチラ
http://www.city.kyoto.lg.jp/kamigyo/page/0000209067.html

(2)開催当日
9月4日(月)18時30分、上京区総合庁舎4階にて平成29年度第1回上京!MOW(上京!meet up~上京の未来に向けたまちづくり活動を育むワークショップ~)は開催を迎えました。事前に公募した10のテーマが具体的にプロジェクトとして動いていくために、テーマの提案者を参加者全員が情報、アイデア出し等で応援、後押しすることを目的としています。

<上京!MOWで選定されたテーマ(左の①~⑥)と関連すると考えられる第2回円卓会議時の6つテーマ(右のA~F)>

① 空き家にしないための活用推進チームづくり   A、D
② 外国人と仲良く暮らすために必要なことについて A、B、D
③ 上京アーカイブ~地蔵盆編~          A、B、C
④ 「上京ちず部」まちづくりまち歩き、地域課題解決への地図共有サービスの活用
                                                                        B、C、D、E、F
⑤ 上京・西陣の魅力的なイベント等の情報発信   B、C、F
⑥ 健康寿命を延伸!音楽で元気をつくりだそう   A、B、D
⑦ 子どもの居場所づくり             A、B、D
⑧ 大将軍商店街の賑わいの創出          D、E、F
⑨ 地域の文化遺産を活用したまちあるき企画    E、F
⑩ 路地にまつわる様々な視点と活用について    D、E、F

(参考)第2回円卓会議時の6つのテーマ
A. 多世代の参加による自治会の再生      D. 住み続けられる家・地域
B. 若者がまち(社会)に参加するための入口  E. 上京型観光(おもてなし、体験、住民との関係)
C. 情報の発信・共有の方法          F. 地域のお宝(伝統文化、魅力等)の理解と周知 

10のテーマは事前に公表したので、そのテーマに興味、期待感をもって参加された方も多く、活気ある場となりました。基本的に参加者は、話し合いの場への出入りは自由で、人によっては移動しつつ、興味があるテーマについて提案者の思いや課題に耳を傾け、積極的に質問、情報提供、協力等の意見交換がされました。その結果、各テーマから具体的に動いていくプロジェクトへの参加、協力等による形で、参加者とテーマ提案者(プロジェクト)がつながった事例がいくつもありました。
1時間という短い話し合いの時間の中で、プロジェクトとしてすぐに動き出せるテーマ、動くのにもう一押し必要なテーマ、まだ少し検討が必要なテーマと、中身の度合いはいろいろでしたが、少なくともどのテーマも、プロジェクトとして動くための次の展開は見えていたようです。
10のテーマから動き出したプロジェクトは、第1回上京!MOW終了後も、継続して進捗の確認や話し合いをする機会をつくるなど活動して、11月開催の第2回上京!MOWを向かえました。この間、上京区役所も、各プロジェクトの活動を補助金の交付や、実際にプロジェクトの会議、イベント等に参加するなどのサポートを行いました。







3.動きを知ってもう一押し!第2回上京!MOW(上京区民まちづくり円卓会議拡大会議)

平成29年11月4日(土)に 第2回上京!MOWを開催しました。第一部は、上京!collection(上京でまちづくり活動を行っている20団体の取組発表)、第二部は、上京!meet up(上京のまちづくりについて語り合う意見交換会)であわせて延べ146名の方の御参加でした。 (1)第1部上京!collection~上京でまちづくり活動を行っている団体の取組発表~ 各テーマから動き出したプロジェクトの9団体による第1回以降の進捗報告と、各プロジェクトの活動内容や方向性がどこかリンクし、各プロジェクトの参考や応援につながりそうな11団体の活動紹介でした。

  A会場 B会場 C会場 D会場
1 空き家にしないための活用推進チームづくり( 地域の文化遺産を活用したまちあるき企画( まちづくり、まち歩き、地域課題解決への地図共有サービスの活用( 子どもの居場所づくり(
2 路地にまつわる様々な視点と活用について( 大将軍商店街の賑わいの創出( 上京アーカイブ~地蔵盆編~( 外国人と仲良く暮らすために必要なことについて(
3 上京・西陣の魅力的なイベント等の情報発信( NPO平安京 上京でスクエアステップを広める会 NPO法人ALIZE
4 NPO法人京町家なんでも応援団 でまちになじむ実行委員会 (社福)上京区社会福祉協議会 北青少年活動センター
5 京都移住計画 出町座 (公財)京都地域創造基金 (公財)京都YWCA

※(「健康寿命を延伸!音楽で元気をつくりだそう」は配布資料のみ)
各プロジェクトの報告はリンク先の報告資料をご確認ください。

(2)第2部 上京!meet up~上京のまちづくりについて語り合う意見交換会~

第2部は、発表者、参加者が混ざり自由に交流をする時間でした。発表者に質問されたい方、発表者同士、参加者同士が紹介しあったり情報共有したりと、会場内のあちこちで話の花が咲いていました。その助けとなったのが、会場内の参加者・発表者をつなぐ役割をお願いした6名のコーディネーターの方の活躍と、参加者全員に配布した「芽が出るシート」(使える場所、つかいたい場所、紹介できる人や団体、紹介してほしい情報等を記入してもらった用紙)を会場内に掲示し、その内容を見てマッチングがすすむ仕掛けを用意したことです。
一見混沌とした雑談のようにも見受けられましたが,資金調達の相談をしている団体、学生パワーを紹介してほしい地域、地域情報に詳しい方を紹介してほしい方、団体同士の協力相談等、それぞれがほしい情報、伝えたいことをお互いに話されていました。
最後に、円卓会議議長の新川先生は、第一部はプロジェクトを一歩進めるための後押しとなる発表であったこと、まちを元気にする取り組みの土台部分の情報を持つ発表者による、新しい活動を支える基盤づくりの時間であったとおっしゃいました。また、第二部は整理されていないガチャガチャした場での出会い、お互いの情報の持ち寄りによる価値ある機会と講評され、平成29年度の上京!MOWは閉会しました。

4.プロジェクトはそして・・・

今回の上京!MOWをきっかけに具体的に活動しているプロジェクトを紹介します。
※()内は団体等名称

(1) 空き家にしないための活用推進チームづくり(空き家にしないための活用推進チームづくり)

月に1度集まり、今後の方針を話し合った結果、平成30年3月3日(土)に,上京区役所にて、様々な分野の専門家であるチームメンバーが一堂に会する講座を開催決定。内容は、普段空き家問題からどことなく遠いと感じている人をターゲットにするということで、架空の40歳代女性が直面した空き家問題について、それぞれの立場からアドバイスを行うことになりました。

(2) 外国人と仲良く暮らすために必要なことについて(外国人と仲良く暮らすために必要なことについて)

上京!MOWでつながった学区、地域の方にアンケートを試してもらう話が進んでいます。一方、外国人住民と楽しくコミュニケーションをやさしい日本語で行う講座も12月2日(土)に開催しました。

(3) 上京アーカイブ~地蔵盆編~(上京アーカイブ)

2回の勉強会で学んだヒアリング方法、データの受け取りに関する諸注意、保存法を受けて、利用規約、ヒアリングシート、募集概要をつくっています。3月には交流会を開催するよう準備をしています。

(4) 「上京ちず部」まちづくりまち歩き、地域課題解決への地図共有サービスの活用(上京ちず部)

上京オープンウィークで開催したまち歩き3回分と、それをもとに作ったStroly地図の振り返りを行いました。1月には「地図」のワークショップを開催計画中です。地図を持ちよって共有サービスを使い、地図についていろんなテーマで話す予定です。

上京ちず部についてはコチラ
https://www.facebook.com/kamigyomappers/?fref=mentions

(5) 上京・西陣の魅力的なイベント等の情報発信(上京・西陣の魅力的なイベント等の情報発信)

すでに情報発信している方々から意見をいただき、効果的かつ魅力的な発信方法を引き続き検討しています。

(6) 子どもの居場所づくり(子どもの居場所づくり)

子どもの居場所や動向の実態を知りたいので、11月26日上京こどもまつりにて、はぐくみネットワークの有志の方がアンケート調査されるということで、アンケート内容を検討し提案・採用していただきました。今後アンケートの集計を行い、地域事情を知る方々へ地域でのお子さんの動向について気になっていること等をお聞きする予定です。

(7) 大将軍商店街の賑わいの創出(大将軍商店街)

子どもたちを対象に、和菓子作り体験のワークショップを1月末、キツネのお面作りのワークショップを2月末に予定し修学旅行生等を対象とする体験プログラム作りの参考にします。

大将軍商店街についてはコチラ
https://www.facebook.com/sousei26/posts/405454693207193

(8) 地域の文化遺産を活用したまちあるき企画(地域の文化遺産を活用したまちあるき企画)

テーマやスポットについて上京!MOWで出たアイデアをスマートフォンアプリ「京都遺産めぐり」のデジタルスタンプラリーコース検討の参考にします。

スマートフォンアプリ「京都遺産めぐり」についてはコチラ
http://geoalpha.jp/kyoto-bunkaisan/

(9)路地にまつわる様々な視点と活用について(上京クリエイティブネットワーク)

上京オープンウィークで開催したドンツキ会議を1月に実施しました。引き続き、実際に路地でできる子どもの遊びなどを検討し、開催にご協力いただける地域を探しています。

5.まとめに代えて

平成28年度の締めくくりにあたる第3回円卓会議において新川議長から、10年先を見据えたまちを考えるうえで重要なポイントを次のように挙げられていました。

1.情報を共有する(整理、蓄積、更新しつつ):例えば、安心安全につながること、暮らし方、地域のルール等
2.未来のために今の活動を続ける・続ければいつか伝わる:1回、2回誘ってダメでも続けていればいつか参加してくれるかもしれない、いつでも参加してくれていいよという状態にする、楽しんでいれば気になってくる人もいる。
3.ちょっとしたおせっかいを発揮する:人と人、人と団体、団体と団体の間をちょっとつなげるというおせっかいの「機会」・「人」が必要である

これらのポイントの幾分かは,平成29年度に開催した2回の上京!MOWや上京!MOWから動き出したプロジェクトにいかされていたと思います。来年度以降も、このポイントを忘れずに、上京のまちづくり活動を皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思います。

【カミング記事】こちらからも上京!MOWやイベント等でのプロジェクトの様子がご覧いただけます。

・上京アーカイブ:
   上京アーカイブ 地蔵盆編~上京!meet up編~

・地域の文化遺産を活用したまちあるき企画:
   「地域の文化遺産を活用したまちあるき企画」のワークショップに参加して
   「地域の文化遺産を活用したまちあるき企画」のその後

・健康寿命を延伸!音楽で元気をつくりだそう:
   はればれ音楽プログラム研修会~知らなかった!自分が持っていたこんな素敵な楽器~
   健康寿命を延伸!音楽で元気をつくりだそう

・路地にまつわる様々な視点と活用について:
   京都西陣× 東京墨田交流事業「ドンツキクエスト&会議」

レポーター

松井朋子(京都市まちづくりアドバイザー(略称:まちアド))

まちアドとして上京!MOWの企画・運営・進行に携わりました。プロジェクトには半分以上関わっています。どんどん動き出して、地域や他団体、他プロジェクトと連携している様子を見るにつけ、感慨深く、途中体調不良になりつつも、がんばって上京!MOWを進めて良かったと感じています。

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