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上京暮らしの文化プロジェクト 京の五節句と年中行事「七夕の節句」

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令和3年7月5日(月)~9日(金)、上京区役所にて「京の五節句と年中行事―七夕の節句」が開催されました。

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事業名 上京暮らしの文化プロジェクト
主 催 京の暮らしの文化普及啓発実行委員会 / 上京ふれあいネット運営協議会
協 力 いけばな嵯峨御流石川利佳甫,京和傘日吉屋,国定織物株式会社,白峯神宮,テラヲ貸物店,鳥羽屋,ハンドメイド299屋,横山竹材店,Gallery be京都

本事業は、令和3年度文化庁文化芸術振興補助金(地域文化財総合活用推進事業)の助成を受けて実施する「京都の地域文化財総合活用推進事業」の一部です。
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七月七日は、五節句のひとつ「七夕の節句」です。五節句は、一月七日(人日)、三月三日(上巳)、五月五日(端午)、七月七日(七夕)、九月九日(重陽)の五つの節日のこと。古来、陽(奇数)が重なると陰が生ずるとされ、節句の日には邪気祓いの行事が行われてきました。

「七夕の節句」の由来は、機を織り、祖霊に捧げる日本古来の行事「棚機(たなばた)」と、中国から裁縫や習字の上達を星に祈る「乞巧奠(きっこうてん)」の習わしが伝わり、結びついたといわれています。織姫と彦星の逢瀬と詩歌・裁縫などの上達を願って星に祈りを捧げ、五色の糸などを供えます。また、梶の葉に和歌をしたためました。これが笹飾りのはじまりと言われています。

この展示では梶の葉と笹飾り、近衛家から宮中に献じられたという七夕花扇、5色を表現した西陣織や伝統を現代にいかした和傘、和琴・琵琶の楽器と絃など上京区にゆかりのある方たちの協力を得て展示されました。

脈々と受け継がれてきた京の歴史や文化がコーディネートされ、とても素晴らしい展示だと好評でした。

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展示内容をご紹介します。


▲七夕花扇使図 一幅 住吉広定 奈艮県立美術館 江戸時代 後期

こちらを参照させていただき、嵯峨御流教授石川利佳甫先生に制作いただきました。
旧暦の七月七日は初秋。毎年七月七日には、近衛家から宮中に七種の花を束ねた『七夕花扇』が献上されました。近衛家陽明文庫に残る記録によると、花扇は高さ三尺三寸、幅二尺二寸の大きさで、縞芒(緑)、桔梗(紫)、仙翁(紅)、菊(白菊)、蓮(桃)、小車(黄)、女郎花(黄)の七種の花を束ね懐紙で包んで水引で飾るもとあります。扇の形であるため花扇とよばれます。内裏では小御所の前の池に浮かべて七月七日の宵に二星の手向けにしたといいます。

今回は、『矢筈芒(やはずすすき)』『吾亦紅(われもこう)』『女郎花(おみなえし)』『桔梗(ききょう)』『小菊』『浜撫子(はまなでしこ)』『撫子(なでしこ)』を色とりどりに束ねました。

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五色をイメージし、西陣織の帯のタペストリー(協力:国定織物様)、京和傘の技術を応用した照明(協力:日吉屋様)、西陣織や和楽器の絃で使用される絹糸を展示いたしました。(なお、糸巻に巻かれている白い糸以外は織物用、白い糸は楽器の絃の絹糸です。)

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さらに、芸事の上達を願ったという七夕。

和琴(わごん)、琵琶も上京区で絃を製造販売されている鳥羽屋様にご協力をいただきました。和琴は別名「やまとごと」と呼ばれる日本でも数少ない楽器です。起源はとても古く、古墳時代の埴輪には、和琴を演奏する人をかたどったものも出土しています。

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「梶の葉飾り」はあらかじめ押し葉にしていた『梶』の葉を「和紙」と、金銀の「折り紙」で挟み、願いが叶うように、水引を結びました。江戸時代の絵図に基づいて形にしました。


▲拾遺都名所圖會 京都学・歴彩館 江戸時代(天明7年 1787年)

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笹飾りには紙衣(かみこ)。右側の資料を参考に制作いたしました。
江戸時代後期から明治時代まで、七夕には、20cm四方ぐらいの大きさの、小さな紙衣を縫う習俗がありました。「七夕さん」と呼ばれたそうです。一枚の和紙に木版刷りされた身ごろ、おくみ、袖、衿を切り抜き、本物の着物のように、針で縫って仕上げます。七夕が近づくと、その木版刷りの和紙が寺子屋などで売り出され、女の子はそれを縫うことで、裁縫の上達を願ったそうです。自分で縫った紙衣を“箪笥に入れておくと着物が増える”という言い伝えがあり、笹飾りにつるされたりもしたようです。

今回は子どもたちと一緒に折り紙でアレンジして作りました。

開放的な上京区役所の1階区民交流ロビーに、2メートル以上高さがある笹がとても圧巻でした。

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このようにたくさんの協力のもと、清らかで雅な展示となりました。

開催期間中に展示していたPOPもご紹介します。


※クリック拡大

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石川先生が心を込めていけてくださった、「七夕対船(たなばたむかいぶね)」もご紹介します。左側の織姫には『夏櫨(なつはぜ)』『小倉仙翁(おぐらせんのう)』と五色の糸を、右側の彦星には『夏櫨』と『松本(まつもと)仙翁』白い糸を合わせていけていただきました。

真ん中は天の川にみたてて、梶の葉が浮かんでいます。

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搬入、設営をサポートいただいたテラヲ貸物店様、横山竹材店様、大人気のオーナメントを制作いただいたハンドメイド299屋様、地域で伝承される「小町をどり」についてご教示いただいた白峯神宮様、ありがとうございました。

日が暮れてからの庁舎も美しく、感激しました。ありがとうございました。

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レポーター

岡元麻有

このような素晴らしい節句のコーディネートをさせていただき、感謝申し上げます。
伝統、技、文化、いろんなものが見ごとに集結し、新たなつながりも生まれました。
今回は展示のみで手に触れることができませんでしたが、いつか演奏会や体験会などを開催できる日がくることをそっと梶の葉の願いに込めました。

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