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人生の節目を祝い、縁を結ぶ「結ぶ上京 祝う上京」展

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人生には様々な節目があります。誕生、お宮参り、七五三、成人、還暦など一生涯における成長を祝う節目、そして入学、卒業、就職、結婚など人生の新たな門出を祝う節目もあります。
そこには、相手を想う心があり、人と人との縁を結んできました。
10月に、人生の節目を祝う大切な儀礼や風習にスポットをあて、これまで育まれてきた歴史や文化を再認識し、簡素化される中でも大切に受け継がれてきたものを紹介する展示が、上京区総合庁舎1階区民交流ロビーで行われました。


■展示内容

書作品「縁」、「百歳雛」(ももとせびな)、富久紗(ふくさ)、結納飾り、西陣織貼交(はりまぜ)屏風、婚礼の花、菊の着せ綿など
展示期間:令和4年10月3日(月)~14日(金)午前9時~午後5時
展示場所:上京区総合庁舎1階 区民交流ロビー
主 催:上京ふれあいネット運営協議会
協 力:吉川蕉仙、有職京人形司 大橋弌峰、石川つづれ株式会社、いけばな嵯峨御流 石川利佳甫、宮本印判店、テラヲ貸物店、Art Gallery be京都(順不同)

「無事に生まれ、長く生きる」ということは、現代ほど当たり前のことではなかったかもしれません。だからこそ、それぞれの節目には儀礼を行い、感謝の意を表し、次の節目へのステップとしていったのではないでしょうか。
社会の変化に合わせ儀式が簡略化されてしまったもの、社会の変化によって廃れてしまったものもありますが、この育まれた文化や歴史を知り、相手や、自分自身を思いやる心を感じていただきたい、そんな想いで今回の展示は実施されました。


結納飾りをご覧になられて、「なつかしいなぁ」とお声がけくださるご年配の方や、白髪の百歳雛をご覧になられて「めずらしい人形ですね。とても上品で美しいです。」といった感想を聞きました。
文化と技がつまった素晴らしい展示に、足を止めてご覧になられている方が多くありました。


▲結納飾り

▲西陣織貼交屏風

▲百歳雛

▲菊の着せ綿

▲婚礼の花(松)

「菊のお花の上にどうして綿が乗っているの?」と菊の着せ綿(重陽の節句)に興味を持たれた方も多くおられました。

参考)▼京の五節句と年中行事「重陽の節句」レポート記事
https://www.kamigyo.net/public_html/event_report/report/20210913/


▲富久紗(袱紗)

お祝いを届ける時の作法は、片木台(へぎだい)にのせたお祝いを広蓋(ひろぶた・黒漆の進物台)にのせ、富久紗を掛けます。広蓋の大きさによって富久紗は広げたまま、あるいは三つ折り、四つ折りなど使い分けます。そして、風呂敷を二重に包んで自宅へ持参します。結納の際には富久紗によって家柄家風などを想像させる、婚礼の際には、 富久紗によって調度品の全体を推測できるといわれるほど大切なものとされています。
また、お祝い金の一割程度を入れてお返しする、お多芽(ため)という風習もあります。地域や「家」によって諸説ありますが、何より、各「家」が受け継いでこられた方法を重んじるのが大事だと、宮本印判店様、石川つづれ株式会社様が教えてくださいました。


▲案内パンフレット裏面「祝いを学ぶ」

結納のほか、水引の結び方や吉祥文様が意味するものについて紹介された「祝いを学ぶ」も多くの方がご覧になられました。

展示では紹介されていなかったこともたくさんあります。
近年では婚礼にはウエディングケーキが主流ですが、和菓子をつかった婚礼菓子もあります。


▲婚礼菓子 蓬莱(提供:鶴屋吉信)

また、お香においても、これから家族、親族となる事をご先祖様にお線香を供えながらご挨拶をして、感謝と敬意の気持ちを伝えるなど、日本の美しい心があります。

今、その知識や経験を守り、そして語り、後世に残していけるよう受け継ぐことが大切だと気づかされます。決して押し付けるのではなく、先人が大切にしてきた知恵を、暮らしに根付かせていければと思いました。



最後に、「結ぶ上京 祝う上京」展の展示作品であった吉川蕉仙氏作の書作品「縁」が、上京区役所に寄贈され、10月21日(金)に受納式が執り行われました。

上京区に関わりのある「縁」がつながっていき、これからも文化の力を大切にしていきたいです。

レポーター

岡元麻有
京町家のギャラリーを企画・運営しております。今回の展示コーディネートをお手伝いさせていただきました。学べば学ぶほど奥が深く、大変勉強になりました。

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