上京ふれあいネット カミング

子どもも大人もみんな一緒に、地域ぐるみでエコ活動
〜中立エコ生活推進会議

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自然豊かな御所西に約1,300世帯が暮らす中立学区。中立学区で生まれ育ち、中立エコ生活推進会議で環境保全活動に取り組む藤原信生議長と岡田精史副議長にお話を伺いました。


左)藤原議長 右)岡田副議長

地域でまとまってエコ活動を進めよう

京都市では、市内にある222学区全てが「エコ学区」となり、地球温暖化が進む要因となっている二酸化炭素の排出を減らすために、地域ぐるみで活動しています。

中立学区では、20年以上前から「地域ごみ減量推進会議」として新聞や古雑誌、天ぷら油を回収し、また、平成25年(2013年)から「エコ学区」として家庭の省エネやごみの分別、地球温暖化対策について学び、実践してきました。
昨年(2020年)、住民自治組織である中立住民福祉協議会において「一つの組織としてまとまってエコ活動を進めていこう」と中立エコ生活推進会議(以降、中立エコ)を立ち上げ、中立住民福祉協議会理事30名が推進委員になりました。

中立エコでは、まず、推進委員を対象に学習会を開きました。地球温暖化を防ぐため、2050年までに二酸化炭素の排出量と吸収量を同じ量にするという京都市が掲げる目標に対して、地域としてできることについて話し合い、地産地消を意識した買い物、エコバッグを持ち歩くなど一人一人ができる取組や、地域と学校が連携した取組の大切さを共有しました。


学習会の様子

子どもたちとの環境学習

中立学区の真ん中にある新町小学校では、4年生になるとホタルについて学びます。堀川の歴史を知り、ホタルの生態や生息環境について学んだ後、子どもたちは「堀川をきれいにしよう」とポスターを作り、川の掃除をします。

昨年度、中立エコでは授業にひと工夫加え、これまで堀川の清掃後に捨てていた落ち葉を学校に持ち帰り、「タヒロン」という容器に入れて堆肥を作りました。できた堆肥は、校内にある菜園の土として利用し、今年度は、この堆肥を使って洛いものグリーンカーテンにも挑戦。平成22年(2010年)から実施している「京都堀川ほたるプロジェクト」をベースに、堆肥づくりやグリーンカーテンなどエコ活動の幅を広げることで、子どもたちが自分たちの生活と環境のつながりを一層感じる機会になりました。

今年度はコロナ禍のためリモート授業を行いました。「どのような授業になるのか想像もつきませんでしたが、各教室にあるテレビに映された資料は見やすく、子どもたちは自分の机で一生懸命メモを取り、たくさん質問や感想を伝えてくれたので、結果的には、体育館やホールで児童を一斉に集めて話すよりも集中して学べたようです」と藤原さんは振り返りました。


憩いの場である堀川を地域できれいに

メッシュ製の堆肥容器「タヒロン」

洛いものグリーンカーテン

集まれない中で力を入れた情報発信

中立エコを立ち上げたものの、新型コロナウイルス感染症が流行し、この2年間はなかなか思うように集まれません。「それならば」と、環境に関連する冊子やチラシを集め、回覧板で毎月回しました。
また、昨年度は「中立えこ通信」を全戸配布して1年間の活動報告を行い、今年度は「ミニ中立えこ通信」も作って地域の人たちに周知する機会を増やしました。活動内容を学区民に知ってもらい、興味を持ってもらえたらという思いで配布しています。

毎日使わないものを地域でシェア

コロナ禍での集まりには、もはや欠かせない検温と手指の消毒。中立エコでは、そのために必要となった非接触型体温計や消毒液を一括購入して保管し、必要な時に無料で貸し出せるようにしました。コロナが流行し始めた当初、これらの品がなかなか手に入らなかったために考え出した取組でしたが、頻繁に使わないものの必要な物品を共有できるようにしたことが評価されて、令和2年度(2020年)京都環境賞の佳作を受賞しました。


コロナ対策物品を学区各種団体で共有

自然の力を借りて防災力を高める

令和3年(2021年)春、「コロナ禍でのまちづくり〜エコ×防災 私たちができること〜」をテーマに、子どもと保護者に呼びかけてロケットストーブを2台作りました。
会場では、ソーラークッカーという太陽熱を使った調理器や、太陽光パネル、太陽光パネルで発電された電力を蓄電できるバッテリーも展示しました。「災害時に停電が起きても、自然の力を使った防災グッズがあります。一度限りではなく、地域が集まる場でこれからも展示や実演をして、多くの人たちに知ってもらえるようにしたいです」と藤原さんは語ります。

エコ活動から気づきを得る

藤原さんは、活動する度に新たな気づきがあると言います。落ち葉の堆肥づくりを例に挙げ、「昔、西賀茂の畑を借りて堆肥づくりをした時にうまくいかなかったことがあり、『そんな簡単に資源が循環するのかな』と半信半疑でした。タヒロン容器に葉っぱと米ぬかを入れるだけというシンプルさが良かったのか、真っ黒な土ができました」と喜びを伝えると、岡田さんは「容器いっぱいに葉っぱを入れても、土になると嵩(かさ)がぐっと減るんです。葉っぱが分解されることは頭でわかっていても、腐葉土ができるのを目の当たりにすると自然の力を感じますし、子どもたちも驚いています」と語りました。


落ち葉と米ぬかを入れた堆肥づくり

約6ヶ月で黒くてふかふかの腐葉土に

自分にできることをしてまちをきれいに

岡田さんは、中立エコが立ち上がるよりもずっと前から近所のごみ拾いをしています。「例えば、タバコが落ちていたら次の人もほかすんですよ。それなら、いつもきれいに保たれていたら良いのだろうと思って」と、晴れの日も雨の日も、ほぼ毎日火バサミとごみ袋を持って近所を歩きます。「生活の延長線上にエコ活動があり、それがずっとつながっていったら、住みやすいまちになっていくと思います」と岡田さん。自分にできることをできる時にしようと、小中学校の樹木の剪定も手伝っているそうです。

次の世代につないでいきたい

京都市が2050年を見据えているように、中立学区も長期的な視点でエコ活動を進めています。「子どもたちが小学校で経験したことが、将来つながることがあります。子どもや保護者の方など若い人たちとともに、学校と連携を取りながら進めていきたいです。」と語る藤原さんと岡田さん。
身近にある豊かな自然環境を次世代につないでいけるよう、中立学区では大人も子どもも参加できるエコ活動を実施していきます。

【募集】中立学区は「堀川と堀川通りを美しくする会」に参加する学区の一つとして、堀川清掃に参加しています。ご近所のみなさん、手ぶらでどうぞお気軽にご参加ください。
日時:奇数月の第3日曜日、午前7時〜8時ごろ
集合場所:みどり公園(中立売通小川角)
清掃場所:一条戻り橋〜下長者町橋

レポーター紹介

亀村佳都

京都市まちづくりアドバイザー
堀川での清掃活動やホタルの育成活動に長年取り組んでいるからこそ、普段の暮らしにエコな視点を持ち、無理のない活動ができるのだと思いました。エコまちステーションやエコ学区サポートセンターという、活動を相談できる場所があるのも心強いと伺って、一人ひとりができることは限られていても、みんなで知恵を出し合いながら取り組めば楽しく、大きな力になると感じました。

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