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畳の魅力を音楽で伝える「日本畳楽器製造」

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1869年創業の西脇畳敷物店は、大宮通に店を構えています。
5代目店主の西脇一博さんは畳を作る職人であり、畳のある暮らしや文化を伝える講師でもあり、畳の良さを音楽で伝えるアーティスト。「畳で日本を元気にしたい!」という思いを持って、仕事や音楽活動に勤しむ西脇さんにお話を伺いました。

総勢300名!畳好き、人好きなメンバーが揃う畳バンド「日本畳楽器製造」

大学時代に軽音楽部に所属していた西脇さん。「畳」と「音楽」を掛け合わせたら、畳をPRすることができるのでは、という思いから、2010年秋に「日本畳楽器製造」という名のバンド(以下、「畳バンド」という。)を結成しました。今では下は3 歳、上は 82 歳まで、およそ300人が所属する大所帯バンドとなりました。日本人も外国籍の人も混じる畳バンドに国境はありません。想像をはるかに超える畳バンドの規模にレポーターの私は思わず 「えっ!」と声が出てしまいました。
「どうしたらメンバーになれますか」と尋ねると、西脇さんは「畳バンドに入るために必要な条件は主に二つあります」と目を輝かせ、「一つは、畳が好きであること。もう一つは、みんなと仲良く、わいわい楽しくするのが好きなこと」と満面の笑みで答えてくれました。楽器は弾けても、弾けなくても大丈夫だそうです。メンバー数に上限はなく、メンバーの脱退も畳バンドの解散もありません。西脇さん曰く、「畳バンドに完成はなく、完成に至るまでの過程を楽しみたい」とのこと。

工夫しながら畳を用いて楽器を作る

畳バンドで使用される楽器は、その名のとおり畳で作られています。初めは、西脇さんの好きなギターやトランペットに畳を張ったり、畳の表の部分を巻いたりしながら楽器を作っていましたが、畳バンドに加わるメンバーが増えると、演奏可能な楽器も増え、畳製のウクレレ、カスタネット、タンバリン、ドラムなどが作られました。ベースになる楽器は、インターネットのオークションサイトで見つけるほか、ギターの場合は時々もらえることがあるそうです。夜、仕事を終えてから楽器を作り、曲を練習すると伺って、西脇さんの畳バンドに対する強い熱意を感じました。

国内外で演奏する世界で唯一の畳バンドに

畳バンドは、地域や学校、商店街などのお祭り、行事に呼ばれて演奏します。今年の春は、3年ぶりに開催された「堀川桜まつり」に出演し、畳バンドが作詞作曲したオリジナルソングを披露、観客の手拍子と共に会場を盛り上げました。
演奏活動は京都のほか、滋賀、大阪、兵庫など近畿圏を越えて四国、九州、沖縄にも出掛け、さらに、海外でも畳の魅力を音楽で伝えています。初めての海外遠征は 2017 年の台湾。台湾では、日本統治時代に日本家屋が建てられたことから、今も畳屋さんがあるそうです。郊外にある温泉街でのお祭りに招かれて演奏し、現地の方と交流しました。その後、韓国とマレーシアにも海外遠征に出掛け、着実に海外での実績を積んでいます。

畳作りに欠かせない、い草

畳バンドの歌には、畳への愛が詰まっています。畳の魅力を伝える中で、「畳を作れるのは、い草農家の方々のおかげ」と西脇さんは語ります。
い草農家は、夏にい草の苗をポットに植え、冬にそれらを田んぼに植え替えます。3 月にい草の軸を太くするために一度切り、160cm-170cmの高さになるまで育てます。6 月から7 月にかけておよそ700 万円もかかる機械を使って刈り取り、泥につけて乾燥させます。泥染めをすると、長持ちし、畳の良い香りがするそうです。
手間暇掛けて作られたい草を畳職人が織機で織って畳に仕立てるのですが、畳一枚を作るのに約7,000本ものい草が必要となるそうです。
い草は主に熊本県で生産されています。2016年に熊本地震が起きた時、畳バンドは被災地を訪れて演奏し、被災者の心に寄り添いました。
い草は海外にも自生していて、インドで作られた薄い敷物がミャンマーやタイ、カンボジア、ベトナム、中国、朝鮮半島を通って日本にたどり着き、畳のような分厚い床材が作られるようになりました。
取材時、西脇さんは、カンボジアで作られたカラフルな敷物を見せてくれました。カンボジアでは、い草を使った民芸品を作ることが女性の人身売買を防ぎ、女性が手に職をつけて自立した暮らしができることに役立っているとも教えてくれました。

畳を作り、音楽やお話で畳の魅力を伝える西脇さん

「世界一、畳を愛する男」と紹介される西脇さんは、西陣で生まれ育ち、大学卒業後は証券会社と商社に勤め、33 歳の時に家業を継ぎました。「職人のまちと呼ばれる西陣に住む人は、目が肥えていて、目利きができる人ばかりです。だから僕もずっと意識高い系です(笑)」と冗談交じりに伝えつつも、 「納得いくもの、良いものを届けたいと畳を作っていますが、傷がある、ヘリの幅が合っていない、色が合っていないなど完璧を目指すことは非常に難しい」と話す西脇さんから、妥協せず、限りなく良い畳を作る職人としての姿が垣間見られました。
畳を作り、畳のある家や店作りへのアドバイスを行いながら、西脇さんは「畳について教えてください」「演奏お願いします」とリクエストがあれば西へ東へと足を運び、明るいトークと歌で畳の良さを伝えています。

レポーター

勝村涼音
立命館大学産業社会学部1回生
終始笑顔でお話をしてくださった西脇さんのお人柄が、畳バンドのメンバーを惹きつけるのだと感じました。西脇さんの明るさと畳へのこだわりは、末永く人々を魅了すると思いました。

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