
同志社大学の「同志社ヒーローショー同好会」(以下、「同好会」という。)は、子どもや地域の方々との交流を目的に活動しています。みなさんは上京区内の地域イベントで、レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクの他に、シルバーやブラックも登場する「同志社戦隊タナレンジャー」を見たことがあるでしょうか。
悪の秘密結社D.D.O.(※)を率いるリーダー「ダークネス」と手下「ゲバー」との戦いを通じて平和を守る物語は、2010年秋、同志社大学京田辺キャンパスでの「クローバー祭」で公演されて以来、地域でお祭りや幼稚園の卒園式などで子どもたちに夢を届けています。 (※)D.D.O.はDoshisha Darkside Organization(同志社ダークサイドオーガニゼーション)の略。
ヒーローショーには、ヒーローと悪役だけでなく、司会、脚本、音響、照明、小道具に携わるスタッフも欠かせません。同好会では固定の役割はなく、メンバーそれぞれが演者になることもあれば、裏方を担うこともあります。
今回お話を伺ったのは、会長の櫛田絢加(くしだ あやか)さんとSNS担当の谷あゆみさん。お二人とも、時には演者、時には舞台裏で活躍しています。

入会のきっかけと魅力
実は、メンバーの多くは幼少期からヒーロー番組に親しんできたわけではありません。櫛田さんは「名前が面白い」という軽い動機で入会し、谷さんは、新入生歓迎会でたまたま観たヒーローショーに心を打たれ「私がやりたかったのはこれだ!」と入会を決めました。
二人とも入会し、ショーを行って初めて、その魅力にはまってしまいました。
例えば、室町児童館で秋に行われる「ゆめフェス」に参加した時、子どもたちから「がんばれ!」と声援が飛んできた時に感動したと口を揃えます。また、こじんまりとした公演を想像していたため、小学校の体育館のステージを目一杯使って、子どもと先生に加えて来賓、保護者など大勢の人々の前で行うという、ショーの規模の大きさにも驚いたそうです。「今年も出演してください」と声をかけていただけることがありがたく、毎年脚本を変えて観客の期待を超えるショーを準備しています。
子どもたちが目を輝かせてショーを見つめる姿や、地域のお祭りで「ヒーローショーがあるから来ました」と言ってもらうことが、公演を行う原動力となっています。


「文化祭前夜」が続く準備期間
ショーの依頼が入ると、メンバーが集まり、3週間ほどかけて脚本を練り、セリフや効果音を録音し、装飾品を作ります。その期間はまるで「文化祭の前日」がずっと続いているような高揚感を味わうのだそうです。拍手や応援の声を受けると達成感が込み上げ、「次も頑張ろう」と思うほか、「ヒーローショーをやり遂げることが自信につながっている」と谷さんは語っていました。
仲間と共に高みを目指して
3年生の櫛田さんは昨冬、先輩の指名によって会長になりました。谷さんを始めとする5人の幹部とともに、責任を分かち合いながら活動を続けています。「櫛田さんはミスが許されない音響を何度も引き受け、責任感があって頼もしい」と谷さんから信頼の言葉が寄せられました。
音響は、演技とのズレが許されない重要な役割。一発勝負の公演中に、もしもスピーカーから音が出なかったら一大事です。また、戦いの場面で体をぶつけ合い、刀を合わせる時に、的確に効果音を出さなければなりません。櫛田さんは、谷さんから会長としての太鼓判を押すメッセージに「音響のようなプレッシャーのない、悪役ゲバーを演じる時は心から楽しめる」と茶目っ気たっぷりに返していました。
同好会では、最近はより一層演技に力を入れています。3年生になると活動に慣れてきた分、ゆるみが出ているかもしれないと反省し、「楽しくやろう」「好きにやってみよう」という言葉を一旦置いて、1年生や2年生も交えて、発声練習や舞台での立ち位置の見直し、メリハリのついた戦闘シーンの練習などに取り組んでいます。

メンバーを増やし、公演依頼に応えたい
同好会には46人の学生が登録しているものの、授業やアルバイト、他のサークル活動などで忙しく、公演に必要なメンバーが集まらないことがあるのが悩みで、出演者が足りないという理由で依頼を引き受けられないことを心苦しく思っています。メンバーを募るため、谷さんはSNSで日々の活動を発信し、「未来の仲間」にメッセージを届けています。
無償の愛で人々を笑顔に
同好会の活動は、ボランティア精神に基づいています。「ヒーローは無償の愛で人に接しますよね。悪を倒してお金を求めるような存在ではない」と櫛田さん。谷さんも「学生である今しかできないことに全力で取り組む私たちに見返りは要らない」と語ります。
子ども向けの施設だけでなく、高齢者施設や日本語学校、さらには海外のアニメイベントでの公演にも活動の幅を広げたら面白そうだと夢も膨らんでいます。
学生だけで作るヒーローショーは、今しかできない特別な挑戦。もしまだ観たことがなければ、毎年11月26~28日に開催される「同志社EVE(イブ)」での公演へ足を運んでみてください。きっと元気と笑顔をもらえるはずです。


▲2025年8月23日の寒梅館夏まつりの公演には、かみぎゅうくんも出演

同志社大学ヒーローショー同好会
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レポーター

まちづくり協働コーディネーター
演者にも裏方にもなると聞き、レッド役の学生はレッドをいつも演じると思っていたので、「学生さんたちはなんて柔軟なんだろう」と驚きました。公演では、悪役が悪役になり切っていて面白く、子どもが夢中で応援する姿を見て大人の私も物語に引き込まれていきます。ヒーローショー同好会の皆さん、感動をありがとうございます!