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花火でつなぐ、地域のバトン 嘉楽学区『子供花火大会』

夏の夜、中学校のグラウンドに集まる親子や地域の人たち。
子どもたちの手には色とりどりの花火が光り、夜空には打ち上げ花火が広がります。

嘉楽学区の「子供花火大会」は2022年にスタートし、今年で4回目を迎えました。昨年は上京区民まちづくり活動支援事業「上京!MOW部門」に採択され、地域のつながりを次の世代へつなぐ取組としても注目されています。

今回は、この花火大会を始めた嘉楽学区少年補導委員会の中野泰伸支部長にお話を伺い、8月22日に開催された花火大会を取材しました。

子どもたちの夏の思い出をつくりたい

中野支部長に事前インタビュー。上京区役所にて。
▲中野支部長に事前インタビュー。上京区役所にて。

上京区には「学区」と呼ばれる17の住民自治があります。
(参考 上京区役所ホームページ「学区案内~概要と歴史~」
https://www.city.kyoto.lg.jp/kamigyo/page/0000029004.html)

そのひとつである嘉楽学区は、東は智恵光院通、西は千本通、南は一条通、北は五辻通を境界とする、面積0.209平方キロメートルの地域です。
子どもの数は年々減少しており、隣の乾隆学区と合わせても、小学校の児童数は100名ほどだといいます。
そのような中、夏休みの子ども行事で何か取り組めることないかと考えていたところ、地域において耳にしたのが、「最近は家の前で花火をするのも難しくなった」という声でした。
それなら、子どもたちが安心して花火を楽しめる機会を地域でつくれないだろうか、地域の人たちが安心して花火を楽しめる広い場所は嘉楽中学校しかない、そう考え、校長先生に相談したところ快諾してもらえたそうです。さらに地元消防団の協力も得て、「子供花火大会」が始まりました。
中野さんの想いは、「夏休みに子どもたちの記憶に残るものを」という、とてもシンプルであたたかいものでした。

予想を超える参加者と地域のつながり

これまでの開催写真も見せていただきました。
▲これまでの開催写真も見せていただきました。

初めて開催した2022年には、100セットの花火を用意しました。
ところが当日は子どもが約150名、大人も合わせると約300名が参加。主催者の想定を超える人が集まりました。
開催後、「来年も続けてほしいか?」とアンケートを取ったところ、90%以上の人が「参加したい」と回答したそうです。
2回目以降は協賛金を募り、地域の銀行や郵便局、店舗なども協力してくれるようになりました。
子どもたちに少しでも楽しんでもらおうと受付で始めたガラガラ抽選会では、大人からも「やりたい!」という声が。
商店街から抽選会の看板や道具を借り、景品も集まりました。
さらに学生ボランティアや中学生など、お手伝いをする人も少しずつ集まるようになりました。
花火大会を楽しむ「参加者」だけでなく、地域の行事を一緒につくる人たちも増えていったのです。

4回目の夏も大盛況

中野支部長による開会宣言
▲中野支部長による開会宣言
開会を告げる打ち上げ花火が上がります。
▲開会を告げる打ち上げ花火が上がります。

2026年8月22日。
4回目となった今年も、会場となった嘉楽中学校にはたくさんの親子連れや子どもたちが集まりました。
中野支部長の開会宣言に続いて、開会を告げる打ち上げ花火が上がります。

消防団の皆さんが手持ち花火用のろうそくに火をつけます。
▲消防団の皆さんが手持ち花火用のろうそくに火をつけます。

消防団の皆さんが手持ち花火用のろうそくに火をつけると、子どもたちは思い思いの花火を楽しみました。

浴衣や甚平で参加する子どもたちも。
▲浴衣や甚平で参加する子どもたちも。
仲良く花火を楽しみます。
▲仲良く花火を楽しみます。

「人に向けたらアカンよ」
「気を付けてね~」
あちらこちらから、大人たちの優しい声が飛び交います。
浴衣や甚平姿の子どもたちもいます。
「久しぶり~!」
夏休み中、しばらく会っていなかった友達を見つけてうれしそうに駆け寄る姿もありました。
花火を楽しむことはもちろん、地域の人や友達と顔を合わせることも、この花火大会の楽しみのひとつだと感じました。

「継続する」ための工夫

昨年度、この花火大会は「次世代育成と地域の絆づくり事業」として、上京区役所で行われている上京区民まちづくり活動支援事業「上京!MOW部門」の補助金に採択されました。
「上京!MOW」は、人や団体がつながり、地域やまちづくりのさまざまな課題の解決や、具体的な取組の実現につなげていく場です。花火大会を通して世代を越えた交流が生まれ、地域のつながりを育んでいる点も評価されました。

さらに、今年から新しく始めたこともあります。
それは、使い終わった花火のごみを消火したあと、各自で持ち帰ってもらうこと。
そのためのビニール袋を受付で配布しました。
楽しい地域行事も、準備や後片付けを一部の人だけが担い続けていては、いつか負担が大きくなってしまいます。
参加する人にも少し協力してもらう、小さな工夫かもしれませんが、花火大会をこれからも続けていくための大切な仕組みです。
また、事前に近隣のマンションなどへ花火大会の開催を知らせるビラを配布するなど、学校や消防団、地域の人たちと連携しながら、安全に開催できるよう準備が進められました。

周囲に気を付けて自分たちのペースで花火を楽しみます。
▲周囲に気を付けて自分たちのペースで花火を楽しみます。

夜空に上がった花火

この日は途中から急に雷が鳴り始め、予定を変更して打ち上げ花火を早めることになりました。

打ち上げ花火に火をつける消防団
▲打ち上げ花火に火をつける消防団

打ち上げ花火は、倒れないようにブロックでしっかりと固定し、消防団の皆さんの息の合った連係プレイで次々と花火が上がると、「おぉー!」「わぁ!」と会場から歓声が上がります。

高く打ち上がる花火に「おぉ!」と歓声がわきます。
▲高く打ち上がる花火に「おぉ!」と歓声がわきます。
夏の夜空を彩ります。
▲夏の夜空を彩ります。

中学校のグラウンドから、およそ20メートルの高さまで上がる花火。
そしてフィナーレは、滝のように火の粉が流れ落ちる仕掛け花火と色とりどりの花火です。

いよいよフィナーレ
▲いよいよフィナーレ
高く上がる花火と打ち上げ花火で大盛り上がり。
▲高く上がる花火と打ち上げ花火で大盛り上がり。
中野支部長も点火に協力します。
▲中野支部長も点火に協力します。
閉会宣言
▲閉会宣言

用意された子ども用花火170セットと打ち上げ花火が、夏の夜を色鮮やかに彩りました。雷のため予定より少し早い終了となりましたが、幸い雨は降らず、最後まで会場から楽しそうな声が聞こえていました。
消防団の方に「すごく楽しかったです」と伝えると、とても嬉しそうな笑顔を見せてくださいました。
花火を見ている子どもたちだけでなく、それを準備し、支えている大人たちも楽しんでいる、その姿がとても印象に残りました。

「見る人」から「一緒につくる人」へ

安全のため50個以上の消火バケツが準備されました。
▲安全のため50個以上の消火バケツが準備されました。

中野支部長は、こんな未来を思い描いています。
いつか、今ここで花火を楽しんでいる子どもたちが大きくなったとき、「あの時の花火、楽しかったなぁ」と思い出してくれること。そして今度は、「自分たちも地域のため、子どもたちのために何かしよう」と思ってくれたら嬉しいと。
ひとつの花火大会をきっかけに、地域のバトンが少しずつつながっているように感じました。
来年もまた、嘉楽学区の夜空に素敵な花火が上がりますように。

レポーター

岡元麻有
岡元麻有

夜の中学校で花火をするなんて、なんだかドキドキする。そんな気持ちで取材に伺いました。
会場では、花火を楽しむ子どもたちはもちろん、声を掛け合う地域の方々や消防団の皆さん、そして大人たちの笑顔も印象的でした。高齢者施設から参加されている方の姿もあり、世代を越えて同じ時間を楽しんでいました。
新しいことを始める人がいて、それを支える人が増え、楽しみにしてくれる人がいる。
子どもたちにとって、この日の花火がいつか「地域の思い出」になり、その記憶が次の世代へつながっていくのかもしれません。