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”入浴着ってなに?”京都発の入浴着ブランドlolo(ロロ)と広げる新しい入浴文化

皆さまは入浴着をご存知でしょうか?入浴着とは、乳がんによる乳房切除や皮膚移植などの手術痕をカバーし、着用したまま入浴できる専用の肌着です。その認知度はまだ低いものの、少しずつ関心が高まっています。
この入浴着を、医療用品としてだけの着用ではなく、ファッションアイテムとして楽しむ視点をプラスし、京都から新しい文化を広げているのがブランド「lolo(ロロ)」です。
今回は奥様の乳がん経験から入浴着ブランドを設立された、loloの田邉純さん・晶子さんご夫妻に話を伺いしました。

loloの田邉さんご夫妻 左)田邉晶子さん 右)田邉 純さん
▲loloの田邉さんご夫妻 左)田邉晶子さん 右)田邉 純さん

lolo立ち上げのきっかけ:入院中のベッドの上で起業を決意

起業のきっかけは晶子さんが40歳の時に乳がんを告知され、乳房の全摘出手術と再建手術を受けた経験にあります。
「元々温泉やサウナが好きだったので、入院中に胸元をカバーして温泉等に行けるアイテムがあるか調べたら、入浴着というものがあることを知りました。しかし、既存の入浴着を探すと、肌色で目立ちにくいものか、使いすてのものが主流で、個人的に『着用したい』と思えませんでした。気分が明るくなるような、もっとファッションアイテムとしての入浴着があってもいいと思い、入院中に起業を決意しました。」

loloがこだわるデザインと機能性

loloの「バスキャミ」は、モダンな柄が目を引く、おしゃれで機能性も優れていることが特徴です。また、首元と胴回りの紐の長さが調整できるフリーサイズ対応になっており、バスキャミはモダンな柄にして、医療用っぽくないものとなっています。グレーと白のまだら模様は、濡れても傷跡が目立ちにくくなっており、試作品を何度も作って完成させたとのことです。

loloの田邉さんご夫妻 左)田邉晶子さん 右)田邉 純さん
▲実際にバスキャミを見せていただきました
京都の補正下着の老舗メーカーと共同で開発。制作段階で実際の乳がん患者の方達に試着してもらい、アドバイスをもらい改良を重ねたそうです
▲京都の補正下着の老舗メーカーと共同で開発。制作段階で実際の乳がん患者の方達に試着してもらい、アドバイスをもらい改良を重ねたそうです

しかし入浴着はまだまだ認知度が低く、着用することに抵抗がある方も少なくありません。そのためloloでは「バスキャミ」だけでなく、「バスストール」も販売されています。
「バスストール」はバスキャミと違って湯船に浸かることはできませんが、脱衣所や洗い場で着用できる長めのサイズ感です。胸元にボタンがついているので、ずれないようになっており、湯船に浸かるときは頭に巻くことも可能な仕様です。ストールとして普段使いもできるオシャレなデザインになっています。

バスストールも見せていただきました
▲バスストールも見せていただきました
バスストールは今治産で、現在はグレーとオレンジ、ブルー、ピンクの4色が販売されています
▲バスストールは今治産で、現在はグレーとオレンジ、ブルー、ピンクの4色が販売されています

当事者だからできる普及活動

晶子さん自身も「乳がんに罹患するまで入浴着のことを知らなかったし、銭湯などでも見かけることはありませんでした」と語ります。
「着用がOKとされている施設でも、実際に着用することは心理的なハードルの高さがあります。乳がん罹患者だけでなく、それ以外の方にも知ってもらって、入浴着の着用が当たり前の文化にしていきたいです。」そう語るご夫婦は、認知度が自然に高まっていくのを待つのではなく、「当事者である自分たちが、行政やいろいろな関係者にも関わってもらいながら推進活動をしていきたい」と力強く話してくれました。

純さんは「銭湯が多い京都から、新しい入浴着文化を発信していけるのではないか」と話します。「もちろん、マナーを守ることは大事です。その上で、京都の銭湯は入浴着がつけやすいというブランディングも素敵だなと思います。行政や団体を巻き込みながら、この文化を京都から広げていきたい。厚生労働省からは自由に入浴着普及のポスターを作成して良いと言っていただきました。そういった活動もしていきたいです。」と力強くおっしゃっていました。

病気をしても好きなことを諦めないでほしい

最後に、晶子様からメッセージをいただきました。
「病気でQOL(生活の質)を下げずに、今までと同じように好きなことを楽しみ続けるために、私はたまたまお風呂が好きだったので入浴着にたどり着きました。病気をしたからといって好きだったことを諦めるのはもったいない。諦めなくていいと伝えていきたいです。」
入浴着への熱い想いと、今後の活動について、目を輝かせながら力強く語ってくれました。

取材後の一枚 素敵な笑顔が輝きます
▲取材後の一枚 素敵な笑顔が輝きます

lolo

2024年に乳がんサバイバーQOLを上げる入浴着の開発のため起業

HP:https://lolo-kyoto.com/

お問合せは lolo(66.kyoto@gmail.com)へ

レポーター

藤本 文
藤本 文

私自身、入浴着の存在を今回の取材で初めて知りました。実際に触らせていただいたloloさんの製品は柔らかく、バスストールは入浴着だけでなく普段使いとしても着用できる素敵な製品でした。今回の記事をきっかけに、入浴着に関しての知識やloloさんの活動がひとりでも多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。