Kaming News

みんなで歩けば笑顔が広がる!つるかめウォーク

高齢者同士が声をかけ合い、自然を楽しみながら歩くこの活動は、体だけでなく心まで元気にしてくれます。

つるかめ笑顔クラブの活動

つるかめ笑顔クラブでは、2つの活動を行っています。
立ち上げは2018年。まずはじめたのが、昔の思い出をテーマに沿って語り合う「思い出語りの会」。そして、コロナ禍を経験し、全身を動かすエクササイズの重要性を感じ、2023年にはおしゃべりをしながら約3キロを歩く「つるかめウォーク」を始めました。
どちらも、楽しい交流を通じて脳を刺激し、フレイル(加齢による心身の衰え)やロコモ(歩行や立ち上がりが難しくなる状態)の予防につながります。つるかめ笑顔クラブでは、代表の式恵美子さん、リーダーの上西三郎さんのアイデアと行動力、そして挑戦する姿勢に共感したメンバーが集まり、笑顔あふれる活動が行われています。
今年度は「上京区民まちづくり活動支援事業」にも採択されています。

第30回つるかめウォーク 植物園~鴨川千鳥渡り

9月18日(木)、記念すべき第30回のウォークに参加しました。
コースは約3キロ。ゆったり2時間かけて歩きます。

▲上京区役所に集う参加者
▲通話機器の説明を受けます

出発前、上京区役所1階ロビーにはウォーキングスタイルの参加者が集まり、血圧測定や通話機器の準備をしながら笑顔があふれていました。この日は60~80代の男女22名が参加。通話器具の使い方、2名ずつがペアになって行動すること、今日の予定を全員で共有するスタートミーティングを行い、いざ出発です。

植物園でウォーミングアップ

地下鉄で北山駅に向かい、京都府立植物園へ。入園後はまずストレッチ。鴨川の飛び石を渡る予定があるため、足首を念入りにほぐしました。

▲音楽に合わせてラジオ体操
▲日傘や杖など持ち物はそれぞれ

9月中旬とはいえ厳しい残暑。日傘や杖、水分補給など、それぞれの工夫をしながら日陰を選んで歩きます。
「人と話すこと、聞くこと、身体を動かすこと、そして触れ合いが大切。思い出語りもウォークも、他にはない内容にしようと思った」と式さん。最後尾から一人ひとりに「大丈夫?」「ちゃんとペアはいる?」と声をかける姿が印象的でした。

自然と交流を楽しみながら

園内では、アサギマダラがフジバカマに舞い降り、参加者が夢中で撮影する姿もみられました。美しい萩や珍しい植物を見つけるたびに歓声が上がります。リーダーの上西さんは歴史にも詳しく、ウォーキング中に学ぶことも多いと評判です。

▲ フジバカマに飛来するアサギマダラを撮影
▲植物園での集合写真

水車小屋を通り抜け、鴨川門から園を後にしました。

鴨川の飛び石に挑戦!

帰りは北山通りを西へ。途中でトイレ休憩もあり、細やかな配慮に安心します。

▲ 鴨川で集合写真
▲ 順序よく飛び石を渡る参加者
▲無事渡り切ってピースサインの上西リーダー

「気をつけて~」「ゆっくりね!」と声をかけ合いながら、全員が無事に渡りきりました。こういった「挑戦」は参加者の心をわくわく、ドキドキさせます。皆さん、本当に良い笑顔でした。

歌と整理体操で締めくくり

木陰でひと休みした後は、式さんが作詞した「つるかめウォークの歌」を合唱。心も体も温まるひとときでした。最後に整理体操をして解散です。

▲整理体操で体をほぐす
▲つるかめウォークの歌を合唱

ここ数ヶ月は参加者が増えたこともあり、長年クラブを支えているメンバーが受付や安全管理などを分担されていました。チームワークの良さが「唇が触れ合いそうな距離」と表現されるほど、仲の良さが感じられました。

参加者の声

  • 「旅行会社のツアーは一人参加を断られて落ち込んでいたけど、ここは『75歳なんて若い方!』と受け入れてくれて救われました」
  • 「一人で歩くとつい下を向いてしまうけど、みんなと歩くと景色を楽しめます」
  • 「通話機器で会話しながら歩けるのが新鮮。仲間意識が湧きました」
  • 「年を取ると外出が減るけど、ここは無料で気軽に参加できるのが嬉しいです」

無理をさせない雰囲気があり、初めてでも安心して参加できました。

主催者の想い-「輝く人生」を支えたい‐

後日、主催者であるつるかめ笑顔クラブの式さんと上西さんとに、改めてお話を伺いました。

▲左)上西三郎さん 右)式恵美子さん

お二人の出会いは千葉県浦安市。市民大学で介護予防の講師をしていた式さんと、その受講生だった上西さんが出会いました。のちに上西さんが京都へ戻り、偶然にも式さんも京都に移り住んだことから再会。「せっかくなら何かやってみよう!」と立ち上げたのが、つるかめ笑顔クラブです。初期メンバーは「つるかめ笑顔クラブ」の名づけ親でもある若手メンバーも含め3名。そこから「思い出語りの会」を5〜6名でスタートしたのが最初でした。今では20名を超える参加者が集うまでになりました。

参加者の多くは80歳以上で、「思い出語りの会」では約7割、「つるかめウォーク」でも約6割を占めています。活動の広がりとともに、資金の確保や安全管理、スタッフ体制など課題も増えました。
「立ち上げからまもなく10年。みんな年を重ねました。それでも運営の質を落とさず、手法を工夫しながら楽しく続けていきたい。健康でいようと思える場を守っていきたい」と式さん。
上西さんも「参加者のご家族にも安心してもらえるような活動にしたい」と話します。人との距離をもう一度近づけていくことが目標です。
式さんにとって、この活動の一番の目的は「輝く人生」です。
「みんなが笑って、『昔がんばったよね』『今もがんばろう』って言い合えることが大切。高齢者が元気でなければ、地域も元気にならないんです」と語ります。
京都市の中でも上京区は健康寿命が比較的短く、一人暮らしの高齢者が多い地域でもあります。そんな中で、社会参加を促し、一人ひとりが“自分らしさ”を取り戻せる場でありたいと願っています。
つるかめ笑顔クラブは、人の優しさと専門的な知見、そして情熱が形になった場所です。式さんと上西さんの温かな人柄に惹かれて、今日も自然と笑顔が集まっています。

次回の予定

つるかめウォークは11月20日(木)にも開催されます。
12月は18日(木)、それ以降も毎月開催されています。

▲つるかめウォークの案内

申込は開催月の1日から、電話で事前受付。
電話 080-1107-9226(代表・式さん)

レポーター

岡元麻有
岡元麻有

運動不足の私も一緒に歩いて、歌って、笑って、青空の下で体を動かす気持ちよさを実感しました。若い方はなかなか自分のペースで歩くことができない世代だからねと気遣ってくださる先輩も。ひとりだと不安なこともみんなと一緒だと安心ですね。小さな挑戦とドキドキの共有が人と人との距離を近づけることにつながるのですね。みなさん良い笑顔でした!