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手作りで育つ鶴山児童公園での盆踊り

夕暮れに広がる踊りの輪

夏の夜を彩る盆踊り。猛暑が続く2025年8月2日(土)、京極学区にある鶴山児童公園で、3年目となる盆踊りが開かれました。
午後5時30分に炭坑節と花笠音頭が流れると、紅白幕に囲まれた台の周りで子どもも大人も踊り始め、日が傾いて暑さが和らいできた午後6時過ぎには輪が一層大きくなりました。
途中の休憩では、参加者は、振る舞いのジュースやビールを片手に椅子に座ってひと息つき、再び音楽が流れると輪の中に入っていきました。午後7時30分になったところで盆踊りは終了。皆さん達成感あふれる顔で公園を後にしました。
今回、発起人であり、今年から「盆踊り実行委員会」を立ち上げた桂千津子(かつらちづこ)さんにお話を伺いました。

▲お話いただいた桂千津子さん

このまちに盆踊りを

桂さんが育った福岡の筑豊地方では、初盆を迎える家の庭で地域の人々が踊りを捧げ、飲食でもてなす習慣がありました。結婚して、京極学区に暮らす中で「上京区では盆踊りが行われているところもあるけれど、この地域には盆踊りがない」と気づきます。
近所には、いつも綺麗に維持されている鶴山児童公園があり、住民有志で「鶴山公園愛護協力会」を立ち上げて公園を清掃していることを知った桂さんは、「ここで盆踊りをやってみよう」と思い立ちました。早速、愛護協力会に相談し、行政に公園利用のルールや手続きを尋ねました。「暑いので飲み物を用意しようと思ったら、物販は一定の手続きがあるけれど、配ることは問題ないと教えてもらいました」と桂さんは当時を振り返りました。
飲み物は売らずに配布することに決めて、ジュース・お菓子、ビールを準備し、照明設備がないため夕暮れの明るい時間帯を選び、ラジカセで音楽を流して盆踊りを行いました。初回となった一昨年度は約150人が参加し、笑顔で踊る光景が広がりました。

年々広がる協力の輪

1年目、2年目を経て、3回目の今年はついに「盆踊り実行委員会」ができました。メンバー7名が5月から打ち合わせを重ねて役割を決め、ポスターを貼り、準備物を揃えました。
準備する中で思いがけない協力もたくさん得られました。例えば、実行委員会メンバーのつながりから、長椅子10個を借りることができたり、近隣住民から電源を引かせてもらえたり、音響のプロがスピーカーを持ち込んで音楽を担当したり、デザイナーがポスターを制作したり……。さらには、工務店の方がやぐら代わりの台を作ってくれました。紅白幕で台を飾ると盆踊りの雰囲気が一段と増しました。
「周りの人に助けられて、本当に感謝しています」と桂さん。
今年は寄付も増え、ビールやラムネ、お茶、子ども向けのお菓子セットを100個用意しました。当日は想定以上の子どもが訪れ、お菓子を買い足すほどの盛況ぶりでした。

▲パッと目に留まるポスターができました

▲子どもたちにとって踊った後のお楽しみとなったお菓子セット

参加者の声が後押しに

初めて参加した小学6年生は「最初は見様見真似だったけれど、だんだん踊れるようになって楽しかった」と笑顔で伝え、友人に誘われて参加した女性は「老若男女が輪になって踊る一体感に感動した」とのこと。「また来年も参加したい」との声もあちこちで聞かれました。
桂さんも「若い人や浴衣姿の子どもが増えてきた」と手ごたえを感じています。盆踊りは世代を超えて地域の人と交流できるだけでなく、故人を偲び、ご先祖を供養する機会にもなると語ります。新しさと古さが程良く混ざるこの地域で、地域住民のつながりを育むのに盆踊りは良い機会となっているようでした。

▲今年は約350名が集まり、賑わいました
▲踊った後は冷たい飲み物で喉を潤しました

来年へ向けた夢

「続けることで、地域の行事になったら嬉しいです。定着するようがんばります」と桂さん。来年は、休憩時間に子どもたちのダンスや弾き語りを披露し、衣装をそろえて「マツケンサンバ」を踊る構想も描いているそうです。休憩時間も来場者に楽しんでもらいたいとの気持ちが伝わりました。

▲会場で出会った子どもと触れ合う桂さん

輪になって踊ろう

鶴山児童公園での盆踊りは、誰かが得意とすることやできることが持ち寄られ、多様な方が交流できる場として少しずつ形を変えながら、地域に根づきつつあります。
来年の夏、あなたも踊りの輪に加わってみませんか。音楽に合わせて踊ることで、みんなで作る輪が醸し出す温かさをきっと感じることでしょう。

▲子どもから大人まで、盆踊りを楽しみました

レポーター

亀村佳都<br />
まちづくり協働コーディネーター
亀村佳都
まちづくり協働コーディネーター

小さい頃に踊った記憶が思い出されるからか、盆踊りに出かけるとどこか懐かしい気持ちになります。振り付けを覚えていなくても、輪に加わると楽しくて、つい最後まで踊ってしまうのが盆踊りの魅力でしょうか。
後日、桂さんが営むカフェ「出町びぎん」でお話を伺いました。盆踊りとカフェのどちらも、様々な人が出会う場、交流する場になっているところが素敵だなと思いました。