「政治に興味がないから投票に行かないのではなく、どこに投票したらよいのかわからない。自分には政治は難しいと思っている人が多いのではないでしょうか。」
そう話すのは、上京区を拠点に活動するNPO法人Mielka(以下、「ミエルカ」という。)の学生メンバーたちです。
ミエルカは、「若者×政治」を軸に、若者の政治参加や社会参加を促す活動を行っています。大学生約40人が所属し、出前授業や選挙情報サイトの運営、啓発イベントなどを行い、政治や社会を身近に感じてもらう取組を続けています。2025年度には、こうした活動が評価され、公益財団法人「明るい選挙推進協会」が主催する「明るい選挙推進優良活動奨励賞」を受賞しました。
今回は、京都エリア代表の近藤慶真(こんどうけいま)さん、教育事業部長の伊東侑将(いとうゆうすけ)さん、教育事業部所属の宇山歩花(うやまあゆか)さんに活動への思いを伺いました。

若者と政治の距離を縮めたい
ミエルカの前身は、2014年に発足した学生団体「ivote関西」です。留学経験などを通して、日本の若者が政治や社会に関心を持ちにくい状況に危機感を抱いた学生たちが、イベントや交流の場づくりに取り組んだことが原点です。その後、行政や学校、企業などと連携しながら継続的な活動を行うため、2016年にNPO法人となりました。
同じ年には、公職選挙法の改正によって選挙権年齢が18歳へと引き下げられました。より若い世代が政治に参加できるようになったものの、「どこに投票したらよいかわからない」「政治が自分ごととして感じられない」という課題は今も変わらず存在します。
だからこそ、ミエルカでは様々なアプローチによって社会の課題や地域の未来について考える機会を提供することで、若者と政治の距離を縮め、その意思を表す手段の一つとして選挙があることを伝えています。
学生だからこそ届けられる授業
京都府内外の学校へ出向き、これまで延べ50校以上、約16,000人を対象に授業を行ってきました。「自分の考え方がつくられる時期だからこそ、中学生や高校生が社会との接点を持つことは意味があると感じています」と、宇山さんは話します。
出前授業では、学校ごとに授業内容を工夫しています。選挙制度の説明だけでなく、理想の社会について考えるワークショップや地域課題の検討など、生徒自身が主体的に参加できる内容を重視しています。例えば、ある高校では、政党のマニフェストを調べて消費税政策を比較しました。普段は読む機会の少ないマニフェストを通じて、政党ごとの考え方の違いを知ることができたそうです。
また、別の高校では、生徒たちが架空の音楽フェスティバルの運営者になったつもりで、騒音やごみ問題などの課題解決について考える授業を行いました。音楽という生徒たちにとって身近な題材から、地域や社会との関わりを考える機会になりました。
伊東さんは、「生徒の関心や理解度に合わせて授業を作るのは大変ですが、社会に興味を持つきっかけになったと感じられる瞬間が一番のやりがいです」と語りました。

政治を身近に感じるための様々な取組
ミエルカでは、選挙情報サイト「JAPAN CHOICE」を運営し、候補者や政党の情報を比較しやすく整理し、多くの人が政治を身近に考えるきっかけを提供しています。SNSが主要な情報源となる中、今年新たに地方選挙について取り上げたインスタグラムでの発信も始めました。
その他、昨年の京都大学の大学祭では、政治家と学生が直接意見を交わすイベントを開きました。討論会に加え、少人数のテーブルごとに議員と参加者が対話する場も設けたところ、約250人の参加がありました。自分に関係のある話題から政治を考えてもらうことを意識して、物価高対策とSNS規制などをテーマに対話しました。
さらに、「子ども投票プロジェクト」も進めています。子どもたちによる投票体験は、保護者も選挙や社会について考えるきっかけにもなっています。「若者向けの活動と思われがちですが、私たちが目指しているのは子どもから大人まで、すべての人が社会に関わることです」と3人は語ります。


学生主体だからこその挑戦
ミエルカで中心となって活動するのは主に2回生です。3回生になると就職活動が本格化するため、2回生が組織運営の中心を担っています。
学業やアルバイトとの両立の中で、どうやってメンバーのモチベーションを保ち、後輩を育成していけば良いかと常に悩みながらも、多様な考え方を持つ仲間との議論は大きな魅力で、「ミーティングで活動や組織のことを話し始めると終わらないくらい盛り上がります」と、近藤さんは笑顔を見せました。
自分の考えが反映されるまちへ
ミエルカが目指しているのは、一人ひとりが地域や社会について自分ごととして考え、語り、行動する社会の実現です。
「自分の考えが反映された地域に住んでいるという実感があれば、まちへの愛着も深まると思います」そう語る学生たちは、地域のつながりが残り、学生が挑戦しやすい京都のまちに大きな魅力を感じています。
今後は、中学・高校だけでなく、小学校での出前授業も行ってみたいと考えています。
「政治に年齢は関係ありません。社会について考えることは、自分の将来や生き方を考えることにもつながります」と学生メンバーのみなさん。社会を主体的に見る力を育てたい――。その思いを胸に活動する学生たちの挑戦は、地域の未来を支える大きな力になっていくことでしょう。

NPO法人 Mielka(ミエルカ)
団体ホームページ https://mielka.org/
団体Instagram アカウント名:mielka_japan
JAPAN CHOICE https://japanchoice.jp/
地方選挙ガイドInstagramアカウント名:muscat_mielka
レポーター
まちづくり協働コーディネーター
「社会に役立つことをしてみたい」「仲間と意見を出し合い議論するのが楽しい」と、ミエルカで熱く語り、社会の中で行動するみなさんから、充実した日々を過ごしていることが伝わりました。
「自分がまちに関わっていけば、考えれば考えるほど京都が好きになるんです」と、自転車やバスでどこまでも行けて交通の便が良い、地蔵盆など地域のつながりが感じられるなど、暮らしの中で感じる良さにまで話題が広がる取材となりました。